前代未聞の神対応への称賛が止まらない。

　現地８月24日、大谷翔平（ロサンゼルス・ドジャース）が敵地でのサンディエゴ・パドレス戦に１番・指名打者で先発出場し、４試合ぶりとなる45号ソロホームランを放った。豪快アーチを叩き込んだ直後、大谷は誰も想像できない超異例の振る舞いをした。

　ドジャースが５点リードした９回１死、大谷は第５打席でパドレス４番手の松井裕樹と対戦した。カウント1-2から高めのフォーシームを強振。打球速度108.9マイル（約175.3キロ）をマークしたボールは右中間席にぐんぐん伸びていき、飛距離409フィート（約124.7メートル）を計測してスタンドに吸い込まれた。

　リーグトップに並ぶ45号弾に敵地ペトコパークは騒然。大谷のパワフルな打撃音に観客は震え上がった。この直後、スーパースターは球界全体に大きな反響を与える驚くべき行動をとる。

　ダイヤモンドを一周した大谷はベンチ前に戻ると、デーブ・ロバーツ監督のもとではなく、自軍ベンチの横の座席に陣取っていたパドレスのユニホームを着た男性ファンのもとに足を運ぶ。何をしたかと思えば、なんと右手をさっと出してハイタッチしたのだ。

　実はこの男性ファンは試合中から大谷に痛烈な野次を飛ばしていた。のちにロバーツ監督が「非常に迷惑だった。試合中ずっと私の耳元で罵声を浴びせ続けていた」と地元メディアに苦言を呈すほど、聞くに堪えない罵詈雑言を浴びせ続けていたようだ。

　そんな状況のなか、ここまでノーヒットだった大谷は９回にダメ押しとなる豪快なホームランをかっ飛ばした。言葉ではなく、自らの実力をあらためて誇示する粋な"仕返し"に男性ファンは「参ったな」と言わんばかりに深く一礼。大谷に右肩を軽くポンッと叩かれると苦笑いを浮かべるしかなかった。
  　ドジャースの地元放送局『SportsNet LA』で実況を務めるジョー・デービス氏は大谷の会心アーチを目の当たりにすると、「お別れのキッス！」とユーモアに表現。スロー映像でパドレスファンとハイタッチを交わしたシーンが流れると、「ベンチ近くに座っているパドレスファンが一日中、オオタニに罵倒を飛ばしていました。しかし見てくれ。オオタニがホームランを打ったあと『どうだ見たか！』と言ってますよ」とコメントした。

　男性ファンの野次が試合中ずっと球場に響き、中継マイクでも音を拾っていたことをデービス氏は補足したうえで、「きっとパドレスファンにとっては最高の一日になったのではないでしょうか。そしてオオタニのエピソードは永遠に語り継がれる」と、パドレスへの皮肉を交えながら続けた。

　汚い野次を吹き飛ばす豪快な45号ホームランを放った大谷。スーパースターの振る舞いは記録以上に野球ファンの脳裏に素晴らしい光景を深く刻んだことだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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