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プロ野球

琉球ブルーオーシャンズが”球団初の実戦”で完封勝利!清水監督は「なんとかいいところを見せられた」と笑顔

岩国誠

2020.02.16

清水監督は「初戦にしてはよかった」と選手たちのパフォーマンスを評価した。写真:岩国誠

清水監督は「初戦にしてはよかった」と選手たちのパフォーマンスを評価した。写真:岩国誠

 NPB参入を目指してスタートしたプロ野球球団「琉球ブルーオーシャンズ」が15日、”球団初の実戦”となった練習試合・北京タイガース戦に1-0で勝利。日本球界に新たな波を起こす新球団にとって、幸先良い船出となった。

 自身も初采配となった清水直行監督が、記念すべき初実戦のマウンドに送り込んだのは、チーム最年少の19歳・日隈モンテル。東京ヤクルトスワローズに所属する日隈ジュリアスの弟だ。

「僕でいいのかなとも思いましたが、監督には『逃げるな、攻めてこい』と言われていたので、『自分のボールは絶対相手に打たれない!』という気持ちを込めて投げました」

 初回、味方のエラーでいきなり先頭打者に出塁を許したものの、持ち味だという腕の振りが変わらないストレートとスライダーのコンビネーションを駆使し、北京打線を翻弄。3回にもヒットと四球で1死一、二塁のピンチを招くも、2番打者を一塁ゴロ、3番打者はスライダーで空振り三振。マスクをかぶった杉山翔大のリードに導かれ、3回を2安打無失点で監督の期待に十分応えた。

 打線の方は直後の3回裏、2死から9番・森颯馬が、一塁へのボテボテの当たりで執念のヘッドスライディング。「自分らしい泥臭いヒットでした」と笑顔で振り返った記念すべきチーム初ヒットから、けん制悪送球で二塁に進むと、内野守備走塁コーチ兼任の1番・亀澤恭平が初球を狙い打ちし、一、二塁間を見事に破る打球でチーム初打点を挙げた。

 そして4回から、昨年の四国アイランドリーグ最多セーブの又吉亮文が、ピンチを招きながらも3回無失点に抑えると、7回は松本直晃、そして8回からは左腕・本野一哉が2イニングスを圧巻の5奪三振。記念すべきチーム初戦を完封リレーで飾った。
 
「いろんな方に協力をしていただいて、やっとこういう試合ができています。まずひとつクリアできたかな。(観戦に訪れた)ファンの方へ、なんとかいいところを見せることはできたかなと思います」

 試合後、清水監督は少し安堵の表情を浮かべていた。

「とりあえず怪我もなかったし、変なミス、そこまで大きなミスもなかったので、初戦にしてはよかった。キャンプ最初の頃は『これ、どうなるんだろう』ってレベルだったものが、ここまで持ってこられたのは収穫かな」

 チーム初打点を挙げた亀澤兼任コーチも、ゼロから作ってきたチームの現状に及第点を与えたが、求めるところは遥かに高い。NPBで通用する選手となるために、今回テーマとしていたのが『準備』への意識だった。

「やはり、プロとアマの違いは『準備の仕方』なんです。今の彼らはその準備への意識ができていない。そこを変えていかないとレベルアップにつながっていかない」(亀澤兼任コーチ)

 指揮官も同じ課題を挙げた。

「まだまだ準備ができていないところもありました。試合前や試合中、プレーに入る前の準備をテーマにして今日の試合に臨みましたが、最初というところでそういう部分でのミスが出ていましたし、声の連携もまだまだ。最後のアウトまで集中する。これはずっと突き詰めてやっていきたい」(清水監督)

 球界に新風を巻き起こすべく船出した琉球ブルーオーシャンズ。日々の練習で個々の技術に首脳陣も進歩を感じてはいるが、目指すべき高みへはまだまだ課題は多い。多くのNPB経験者を加えたチームは、どこまで個々の意識を高めていけるのか。まずはNPBチームと初対戦となる22、23日の練習試合、ロッテ2軍戦(石垣)に注目したい。

取材・文●岩国誠(フリーライター)

【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。プロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。一時は球団公式SNS用動画制作やパ・リーグTVでの制作・配信を担当。その縁からフリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。
 

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