専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

「2日目に辞任を申し出て…」LA紙が山本由伸の通訳、園田芳大さんに注目「投手としても人間としても素晴らしい選手とペアを組めたことが幸い」

THE DIGEST編集部

2025.10.24

ドジャースに加入した24年から、山本の傍らにはいつも園田通訳(右)の姿がある。(C)Getty Images

ドジャースに加入した24年から、山本の傍らにはいつも園田通訳(右)の姿がある。(C)Getty Images

 米紙『Los Angeles Times』のディラン・ヘルナンデス記者が、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸を支える園田芳大(そのだ・よしひろ)通訳に注目。現地10月22日、「就任2日目で辞めたいと言った園田通訳は、山本のワールドシリーズでの活躍を期待している」と題した記事を公開した。

「山本は、ドジャー・スタジアムのクラブハウスにあるジャグジーからシャワーに向かう園田通訳を見て、こう声をかけた。“その色、何?”。園田通訳が身に付けていたのは、ウサギが虹色のレーザービームを放っている派手な絵柄のボクサーパンツだった。園田通訳は照れながら、こう答えたという。“僕の勝負パンツなんです”」

 園田氏が通訳の仕事に就いて迎えた2024年のスプリングトレーニング初日。ヘルナンデス記者によると、こんな出来事があったという。山本がトレーニングの一環として取り入れているやり投げを行なっている時だった。落ちているやりを園田通訳が拾おうとすると山本は止めさせ、「園田さんの仕事は通訳だから、自分で拾います」と言って自ら拾い集めた。

「園田通訳はすぐに、山本の他人に対する接し方に気付いた。チームメイトに親切なだけでなく、球団の一般職員に対しても誠実だった。園田通訳はいう。“彼は見ていないふりをしていますが、実際は見ているんです。聞いていないふりをしていますが、実際には聞いているんです”」

 ドジャースが遠征に出るたび、山本はチームが宿泊するホテルにスターバックスのコーヒーを届けてもらっている。当然のように、園田通訳の飲み物も注文しているという。デーブ・ロバーツ監督も「山本は本当に紳士的で人格者。ヒロ(園田通訳)や私、サポートスタッフ、その誰に対しても最大限の敬意を払ってくれている」と証言した。

 2年目を迎えた山本と園田通訳のコンビも、今シーズンはワールドシリーズを残すだけ。しかし、実は山本の通訳に就いてわずか2日目に、辞任を申し出ていたという。「日本で柔道に打ち込んでいた園田通訳は、20年ほどアメリカの映画業界で照明技術者として働いていた。『メン・イン・ブラック』『アメイジング・スパイダーマン』『サクセッション』『ナース・ジャッキー』などの作品に携わっていたが、通訳の経験は初めてで野球の知識も乏しかった。テキサスの自宅に住んでいる妻とは離れての生活だった。“辞めたくはないが、続けることができない”」と、ドジャースのスタッフ、スコット・赤崎氏に伝えていた。

 
 かつて野茂英雄氏の通訳を務めた赤崎氏は、考え直すよう諭したという。「野球の知識は学べばいいし、由伸が君を通訳に選んだのは、ほかの誰にもない理由があるんだ」。葛藤の末に辞任を翻意した園田通訳は、山本に不安を打ち明けることなく、仕事に全力で向き合った。ヘルナンデス記者によると、アシスタント投手コーチのコナー・マッギネス、パフォーマンス・サイエンス マネジャーのタイラー・ダンカンからトラッキングデータの解釈方法を教わり、サンディエゴ・パドレスの堀江慎吾通訳やニューヨーク・メッツのヒロ・フジワラ通訳といったベテラン通訳にも相談した。

 山本は24年ワールドシリーズのメディアデーで園田通訳について聞かれ、このように答えていた。「僕たちは2人とも新人でした。とくに園田さんは異業種からきたので、相当苦労してきた。でも、それを表に出さなかったんです」。山本の傍らで園田通訳は「涙を堪えていた」とヘルナンデス記者は回顧した。

 そんな園田通訳には後悔している出来事があるという。「いつもは山本の投球内容をノートに記録しているが、9月6日のボルティモア・オリオールズ戦では、ノーヒットノーランを続けていた9回2死で、メモを取るのを止めた。傍らにいた大谷翔平、中島陽介トレーナーとともに山本の快挙を祝福しようと思ったからだ。しかし、山本は9回2死からジャクソン・ホリデイに本塁打を打たれ、ノーヒットノーランはかなわなかった。“あの打席でもメモをとっていれば”。園田通訳は声を絞り出した」。

 ヘルナンデス記者によると、今シーズンの園田通訳の仕事ぶりが、昨シーズンよりも格段に良くなったという。その理由のひとつは、「ドジャー・スタジアムへの通勤途中、ダルビッシュ有の堀江通訳、千賀滉大のフジワラ通訳の音声を繰り返し聞いている」から。園田通訳の努力を山本も気付いていた。「“陰ながらの努力を、身をもって感じています。彼は本当に純粋で真っすぐな人。本当に素晴らしい人だと思います”と山本は語った」。心から信頼し合っている2人の関係性は、現地記者も肌で感じているようだ。

 園田通訳も山本に感謝している。「メジャーリーグに14人か15人くらいの日本人通訳がいると思いますが、そのなかで私が一番恵まれていると思う」と率直な気持ちを明かした。

 これを受けてヘルナンデス記者は、「赤崎氏に退団を思いとどまらせられたことが幸いだった。マッギネスとダンカンから受けた野球教育が幸いだった。堀江通訳やフジワラ通訳といった先達がいたことが幸いだった。そして何よりも、投手としてだけでなく人間としても素晴らしい選手とペアを組めたことが幸いだった」とまとめた。このように現地記者が注目するほど、山本と園田通訳の関係性は良好なのだ。

 山本はワールドシリーズ第2戦で先発する。その時、ベンチから見守る園田通訳はレーザービームを放つウサギが描かれたボクサーパンツを着用し、山本がマウンドを降りるまで投球内容を記録し続けるだろう。

「私はけっこう、ゲン担ぎするタイプなんです」

 ドジャースとトロント・ブルージェイズのワールドシリーズは、現地24日(日本時間25日)に幕を開ける。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】大谷翔平の妻、田中真美子が輝いた“現役バスケ選手時代”を厳選フォトで一挙紹介! 貴重なショートカット時代も


【画像】大谷真美子さんら世界の美女がずらり! 常勝軍団ドジャースの名手たを支える“ゴージャスでセレブな妻&パートナー”を一挙紹介!


【画像】内田有紀、上戸彩、川口春奈、山下美月、森香澄、韓流アイドル…可憐なユニホーム姿が眩しい! 華やかに“始球式”を彩った美人女優&タレントたちを大特集!

 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号

  • soccer_digest

    10月10日(金)発売

    定価:800円 (税込)
  • world_soccer_digest

    10月16日(木)発売

    定価:980円 (税込)
  • smash

    10月21日(火)発売

    定価:800円 (税込)
  • dunkshot

    10月16日(木)発売

    定価:1650円 (税込)
  • slugger

    9月24日(水)発売

    定価:1100円 (税込)