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ワールドシリーズで代打満塁弾を放ったブルージェイズの若武者はイチローに憧れて左打ちを始めた“変わり種”<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2025.10.25

苦手の左腕から満塁ホームランを放ったバージャー。球団ポストシーズン史上初の快挙だった。写真:GETTY IMAGES

 ワールドシリーズ第1戦で、ブルージェイズの勝利を決定づけたのは"伏兵"と呼んでもおかしくない25歳の若武者だった。

 6回、ドジャース先発ブレイク・スネル、2番手のエメット・シーハンを攻め立て、3点を勝ち越したブルージェイズはなおも無死満塁のチャンス。ここで代打として登場したのはメジャー2年目のアンソニー・バージャーだった。

 カウント2-1からの4球目、これまた代わったばかりのアンソニー・バンダが投じた甘いスライダーをバージャーが持ち前の思い切りのいいスウィングでしばき上げると、打球は右中間席へ一直線に突き刺さった。ポストシーズン球団史上初の満塁本塁打。

 今季、21本塁打を放ったバージャーだが、左投手からはわずか1本。打率も.217と低調で左投手が先発する試合ではスターティングメンバーを外れることが多く、この日もまさにそうだった。「ベースボールは本当に何が起きるか分からない」。打った本人がそう振り返るのも無理はない。
 筋骨隆々とした大会や豪快なスウィングからは想像もつかないが、幼い頃のバージャーは、実はイチローに憧れていた。本来は右打ちだったが、イチローのようになりたいという思いが募り、10歳の時にスウィッチヒッターへ転向。そして、ついに16歳の時には左打ちに専念するという、変わった経歴を持っている。マイナー時代は足を高く上げるハイレッグキック打法が特徴だったが、これも日本人打者に影響されたものだ。

 今はいかにも当世のメジャーリーガーらしいパワフルなスウィングに変わったが、ライトからの強烈なレーザービームはまさにイチロー級。今日の一発も含め、今ポストシーズンではすでに3本のアーチを描いている男は、第2戦以降もドジャースの強敵になりそうだ。

構成●SLUGGER編集部
 
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