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MLB

【ワールドシリーズ】すべてはチャンピオンリングのため――傷だらけの男たちの意地と情熱が交差した壮絶な死闘<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2025.11.03

中0日で登板した山本の力投もあり、ドジャースがブルージェイズとの球史に残る死闘を制した。(写真)GETTY IMAGES

中0日で登板した山本の力投もあり、ドジャースがブルージェイズとの球史に残る死闘を制した。(写真)GETTY IMAGES

 MLBのポストシーズンは世界最高のスポーツエンターテイメントだ――文字通り“死闘”と表現するほかないワールドシリーズが終わり、改めてその思いを強くした。

 球団史上初、そしてMLB全体でも1998~2000年のヤンキース以来となる世界一連覇を狙うドジャースと、1993年を最後に遠ざかっていた頂点を目指すブルージェイズとのワールドシリーズ第7戦は、歴史に残る名勝負となった。

 3回のボー・ビシェットの先制3ラン、4回のアンドレス・ヒメネスへの死球をめぐる小競り合い、第5戦で新人シリーズ最多12奪三振を記録したトレイ・イェサベージの救援登板、9回1死からのミゲル・ロハスの起死回生の同点弾、その裏、昨日96球を投げたばかりの山本由伸のスクランブル登板、両軍とも満塁のチャンスを作りながら無得点に終わった延長10回の攻防、そして11回のウィル・スミスの決勝弾――延長18回、試合6時間39分に及んだ第3戦すら1ヵ月くらい前の出来事のように思えるほど劇的なドラマの末に勝利をつかんだのはドジャースだった。

 これほどのスリルとサスペンスに満ちた熱戦が現実に起こり得たのは、それだけ両軍の選手たちのチャンピオンリングへの思いが強かったからだ。

 長い長いシーズンの終わりを迎え、誰もが身体のどこかしこに痛みを抱えている。それでも、彼らはこの試合で持てる力をすべて振り絞った。
 第4戦で脇腹を痛め、第6戦で強行復帰したジョージ・スプリンガーは、スウィングのたびに何度も激痛に顔をしかめ、ダグアウトでは常にコルセットを巻きつけていた。オフにFAとなるボー・ビシェットも左膝を故障中だったが、ワールドシリーズから復帰。怪我の状態が悪化し、FA市場での低評価につながる可能性も覚悟しながら、「最悪1年契約でもいい」と気丈にプレーを続けた。トミー・エドマンも左足首の状態が悪く、シリーズ終了後の手術の可能性に言及するほどだったが、最後は守備の負担が大きいセンターを守った。

 そして、もちろん山本に言及しないわけにはいかない。第3戦では、延長17回から中1日のリリーフ登板に備えてブルペンで準備を開始。その試合は結局マウンドには上がらなかったものの、第7戦では前夜に続く登板で勝利を手繰り寄せた。

 ポストシーズンの出場枠が拡大しているとはいっても、頂点に立つのは30チーム中1つだけ。この「30分の1」という希少性が、ワールドシリーズを特別なものにしている。

 ブルージェイズの主砲ブラディミール・ゲレーロJr.の同名の父はメジャーで16年間プレーし、MVPを受賞するほどのスーパースターだったが、最後までチャンピオンリングをその指にはめることはできなかった。同様に、ビシェットの父ダンテも二冠王に輝くなど実績十分だったが、メジャー14年のキャリアでワールドシリーズの舞台に立つことすらなかった。

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