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MLB

「地に足着けて、やるべきことをコツコツやっていきたい」周囲の空騒ぎをよそに活躍を続ける村上宗隆の“泰然自若”<SLUGGER>

ナガオ勝司

2026.05.05

前評判を遥かに上回る打棒を発揮している村上。その裏には日々淡々と積み重ねる努力がある。(C)Getty Images

前評判を遥かに上回る打棒を発揮している村上。その裏には日々淡々と積み重ねる努力がある。(C)Getty Images

 ホワイトソックスの村上宗隆が黒い毛糸の帽子をかぶって、本拠地レイト・フィールドに姿を現すのは試合開始数時間前のことだ。

 チーム全体でのウォーミングアップ、キャッチボールが終わると、他の内野手とともに内野に散らばって、守備練習を行うのが日常となっている。

 正面のゴロをさばいて、仮想一塁カバーの投手へのトス。逆シングルから、もしくは一塁線のゴロを捕ってクルリと身体を反転させての二塁送球。いわゆる「3-6-3」のダブルプレーといった具合に粛々とこなしていく。

 最後に前進ダッシュから三塁への送球で締めくくると、彼はチーム期待の24歳コンビのコルソン・モンゴメリー遊撃手とチェイス・メイドロス二塁手、そしてキャッチボール相手で仲の良いミゲル・バルガス三塁手らとハイタッチして、日毎のルーティンのほんの一部を終了する。

「自分がやるべきことを、しっかりときちんとやってるだけですね」

 村上が言葉少なにそう語ったのは、4月24日のナショナルズ戦で、メジャー最多タイ(当時)の11号本塁打で、チームの勝利に貢献した夜のことである。

 アスレティックスとダイヤモンドバックスとの敵地での6連戦で、5試合連続本塁打を含む、27打数12安打(打率.444)、4四球・10打点・7得点でOPS.1.516と活躍した直後だ。1万7千人あまりの少ない観客ながら、打席に登場する度に大歓声を受けた主砲は試合後、自身の本塁打よりチームの勝利を喜んでいた。

「まあ、常に楽しいんですけど、こうやって勝ちきれるチームになるのがとても大切ですし、その中で少しでも貢献したいなと思う」

 会見ではアメリカのメディアから、直近7試合で6本塁打を打ってるが日本でもそういうことはあったのか? という質問が飛んだ。日本での8年間で、シーズン最多で56本塁打も打ったスラッガーへの、あまりにも勉強不足な質問だったが、苛立つような素振りもなく、村上はこう言って苦笑いするだけだった。

「…一応、5打席連続で(本塁打を)打ったことはあるんで…」
 なんでもないひとコマのようだが、彼は今、そういう状況の中でプレーしている。つまり、日本での実績はメジャーリーグ(MLB)ではあまり勘定に入ってない。

 東京ヤクルトスワローズにおける8年間で通算246本塁打、647打点。セ・リーグの首位打者を1回、本塁打王を3回、打点王を2回も獲得したことや、2021年から2年連続リーグMVPを受賞したこと。22年に日本人及びアジア人打者のシーズン最多記録となる56本塁打、NPB史上最年少(22歳)で三冠王を獲得したことなどは、英訳文字では認識していても、MLB的な「上から目線」の中では何一つ理解されていない。

 村上もそれを分かっているからこそ、嫌な顔一つ見せず、メディアの取材に応じているのだろう。昨季、ナ・リーグ最多本塁打と同打点の二冠王に輝いたカイル・シュワバー(フィリーズ)やアーロン・ジャッジ(ヤンキース)や、ヨーダン・アルバレス(アストロズ)といった強打者と比較されるなど、MLBで最も取材される打者となった証である。

「まだ始まったばかり。終わった時に何とかいい成績を残せていればなと思います」

 慣れない一塁守備や空振りの多い打撃に対する懸念はどこへやら。日毎の練習の成果もあって、一塁守備は無難にこなしている(28試合でわずか1失策!)し、空振りの多さも、時には1.000を超えるOPSに埋もれている。

 とりわけ守備に関しては、余裕のない内野手の粗い送球がショートバウンドになろうが、上に逸れようが、上手くミットに収めて、日増しに信頼度を高めている。それは偶然でもなんでもなく、冒頭に書いたような日進月歩の努力の成果なのだ。

「毎日、自分のやるべきことをやるのが僕の課題でありますし、結果として打つことはもちろん大事ですけど、その前の準備段階とか、自分のやるべきことはしっかりやろうと心がけしている。もちろん、課題が出て、自分で感じることがあって、それを潰していくってことが大事だと思ってる。まだまだシーズンは長いし、初めてのいろんな投手と経験するので、自分のアンテナを張って成長していければなと思います」

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