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“ケチ球団”には課税?メジャー最低年俸が3倍弱に?「世界最強の労組」MLB選手会が新CBA案提出 MLB側は「戦力均衡の問題をむしろ悪化させる」

THE DIGEST編集部

2026.05.29

労使協定の交渉が本格化し始めたMLB。(C) Getty Images

労使協定の交渉が本格化し始めたMLB。(C) Getty Images

 MLB選手会は現地5月27日、新たな労使協定(CBA)に関する提案をMLBに提出した。CBAは選手会とオーナー側の間で締結される協定で、現行のCBAが失効する今年12月1日に向けた正式な交渉が初めて行なわれた。米スポーツ専門局『ESPN』など複数メディアが報じている。

 同局によると、今回選手会側から提出された提案は主に次の通り。

・年間の支出が1億5000万ドル(約239億円)未満のチームに対する“競争公正税”の導入
・“ぜいたく税”の基準となる総年俸額を現行の2億4400万ドル(約389億円)から3億ドル(約478億円)に引き上げ
・メジャー40人枠にいる選手のサラリー最低額を現行の78万ドル(約1億2400万円)から150万ドル(約2億3900万円)へ、2031年までに220万ドル(約3億5000万円)へ段階的に引き上げ

 同局によると、MLB側は戦力均衡を目的に、今回の交渉で約30年ぶりにサラリーキャップ(各チームの年俸総額の制限)制度の提案を行なう見込み。一方の選手会側は選手の年俸が制限される恐れがあるサラリーキャップ制度の導入に強く反発してきた歴史があり、今回の提案は戦力均衡の代替案を提出した。

 具体的には年俸総額が少ないチームへの“競争公正税”の導入によるリーグとしての戦力の底上げ、そして“ぜいたく税”基準値の引き上げによって球団がより勝ちにいきやすいルールを定めた形だ。
 
 その他の提案からも、年俸総額が極端に少ない球団、つまり戦力補強に消極的で支出を抑えることで利益を出している球団に対して、勝利を求めることへの金銭的インセンティブを強めることで結果的に戦力均衡を図る、という意図が見て取れる。サラリーキャップが無くても、財政的な不平等は解決し得るとのメッセージだ。

 一方で、MLB広報担当のグレン・キャプリン氏は「組合の提案に感謝し、今後もファンが解決すべきだと訴える戦力均衡の問題解決に向けての努力を楽しみにしている」としつつ、「彼ら(選手会)の提案は選手の利益を目的としているのは理解しているが、残念ながら戦力均衡の問題をむしろ悪化させる」と指摘。「例えば、ロサンゼルス・ドジャースはぜいたく税の支払い額が減り、給与に使える金額が7000万ドル(約112億円)増えると見られる」と説明した。

「世界最強の労働組合」とも言われる選手会の長年の努力によって、北米4大プロスポーツリーグの中で唯一、現在までサラリーキャップが導入されていないMLB。交渉が難航し、ロックアウト(オーナー側が選手に対して球団施設への立ち入りなどの活動を禁止する交渉手段)が長引けば無事に開幕を迎えられない可能性も十分ある。

 来季以降のMLBはどのような姿となっているのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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