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【担当記者が見た大谷翔平】調整で重きを置いていたのは「打」より「投」。現実味を帯びてきた「二刀流開幕」

斎藤庸裕

2020.04.21

開幕が延期になったことは投手・大谷にとっては有利に働くかもしれない。(C)Getty Images

 来る開幕を信じ、大谷翔平投手は本拠地エンジェル・スタジアムで着々と歩みを進めている。4月13日と17日にブルペン入りし、それぞれ直球のみで15球を投げ込んだ。マウンドからの本格的な投球は3月11日以来、約1か月ぶり。投球強度の「第1段階」から再びスタートを切った。

 メジャー1年目以来の二刀流復活へ、キャンプから順調に調整を続けていた。初日の2月12日、「1年1年、勝負だと思っている。1年目、ほぼ僕の中では投げていないに等しい(先発10試合)。もう1回ローテーションを回れるように、しっかりやりたい」と決意を新たにスタート。バットとグラブを手に、投打の練習メニューに取り組んだ。

 二刀流での調整とはいえ、重きを置いていたのは「投」の方だった。やるべきことが多いのは「ピッチング。投げていないというか、実戦から遠ざかっている」。2018年9月2日、アストロズ戦の先発を最後に打者に専念。同年10月1日に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)を受け、19年は年間を通してヒジのリハビリを続けた。
 
 ブランクを経て迎えた今年のキャンプイン。当初、復帰登板は5月中旬に設定されていた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期となったことで、「二刀流開幕」が見えてきた。キャンプ中に強度を上げていたブルペン投球は3月中旬に一度リセットとなったが、その後も本拠地でトレーニングを継続。遠投で肩を作り直し、段階を踏んでブルペン投球を再開させた。

 一方、打者としては3年目。今年は足の上げ方やタイミングの取り方を変え、オープン戦に臨んだ。9試合の出場で打率.105と苦戦したが、結果は二の次。「しっかり(打撃を)直せる引き出しを多く、毎年毎年、見つけられれば」と、明確な意図を持って取り組んでいた。1年目から2年連続で100試合以上に出場し、合計792打席。実戦を積んできた経験もある。

 開幕までどれだけの準備期間があるのか、現時点では不透明だ。具体的な時期が決まれば、投打で調整のギアを上げていく必要がある大谷。柔軟に対応するため、先を見据えて準備を続けている。

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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