プロ野球

【日本ハムの2020年を左右する3つのポイント】第一の課題は長打力不足。メジャー移籍を見据える主力2人の後継者育成も急務

出野哲也

2020.06.16

エースの有原(左)、核弾頭の西川(右)はともに将来のメジャー挑戦を公言。彼らの後釜となる選手の育成も急務だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST編集部)

 どんなチームも未知数の要素を抱えてシーズンを迎えるもの。2020年の日本ハムの成否を左右するであろう3つの要素を分析してみよう。

●1 長打力不足を解消できるか
 昨年5位に低迷した要因に、前年から47本も減少してリーグ最少の93本塁打にとどまった長打力不足があった。18年に26本のブランドン・レアードを手放し、新加入の王柏融が3本しか打てなかったのが響いたもので、今季も巨人から獲得したビヤヌエバが虫垂炎の手術で大幅に出遅れが決定。王は練習試合で2試合連続本塁打を放つなど好調だが、本質的には中距離タイプだ。そんな中で注目したいのが高卒2年目の野村佑希。6月の練習試合では5試合で3本塁打の活躍で、13年の大谷翔平以来の開幕スタメン一軍デビューも見えてきた。もちろん、3年目を迎えた天性の長距離砲・清宮幸太郎に期待したい。王も含めて不確定要素も大きいが、打線のカギとなる存在であることは間違いないだろう。
 
●2 正遊撃手を固定できるか
 ほとんどのポジションでレギュラーが決まっている中、三塁と遊撃は流動的。特に遊撃は中島卓也、石井一成、平沼翔太があまり高くはないレベルで争っている。守備力が一枚上の中島で固定できれば投手陣にとっては安心だろうが、打撃面が足枷になる。長打力と肩で中島を上回る石井は攻守両面で確実性に乏しく、最も伸びしろが高い22歳の平沼も、まだ常時起用したいと確信させるほどではない。中島を守備要員にできるくらい、石井と平沼が高水準で競い合うのが理想なのだが……。いずれにせよ、要のポジションでもある遊撃がしっかりしないことには上位進出は望めない。

●3 メジャーを見据える主力2人の後継者
 ポスティングでのメジャー移籍に寛容な球団とあって、現在もエースの有原航平と主将の西川遥輝がメジャー志望。すぐ実現するかどうかは分からないけれども、なるべく早めに後継者を用意しておきたい。投手では3年目の田中瑛斗が期待大。昨年は二軍でも打ち込まれたが、球自体は悪くなかった。来季ローテーションに入れるくらいの目処が今季中につけられればいいだろう。ポスト西川は万波中正が最有力。同じセンターでも、選手としてのタイプは西川より新庄剛志に近いが、華のある点は同じ。こちらも二軍でしっかり鍛え、西川が抜ければすぐ後釜に収まれるよう準備しておきたい。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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