「シーズン半ばの時点でワールドシリーズ出場を狙える状況だったら素晴らしい。だが、そうでないなら、その後の18ヵ月は現実から目を逸らすわけにはいかない」。まだ新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する前の3月上旬、セオ・エプスティーン編成総責任者は今季の展望についてそう語った。60試合の短縮シーズンになったことでやや状況が変化したとはいえ、相変わらず不安材料は多い。
2011年10月に編成トップに就任して以降、エプスティーンのチーム作りは、アストロズと並んで現代MLBのスタンダードになった。5ヵ年計画でゼロからチームを作り直し、15年から4年連続でプレーオフに進出。16年には108年ぶりのワールドチャンピオンを達成した。
だが、躍進を支えた主力選手のサラリーが高騰し、総年俸がぜいたく税ラインを超過する一方でファーム組織は弱体化。昨季は地区3位と停滞してプレーオフ進出を逃すなど、チームが過渡期を迎えていることは明らかだ。5年間タッグを組んだジョー・マッドン監督と袂を分かち、16年の優勝メンバーでもあるデビッド・ロス監督を据えて臨む今季も、目標は一応プレーオフ進出だが前評判は決して高くない。
21年オフには、一塁手のアンソニー・リゾー、三塁手のクリス・ブライアント、遊撃手のハビア・バイエズ、外野手のカイ・シュワーバー、そしてベテラン投手のジョン・レスターら主力が、一斉にFAとなる可能性がある。特にブライアントは、球団がFA権取得時期を1年延ばすためメジャー昇格時期を遅らせたことを根に持っていて、少なくともFA前の長期契約には応じない可能性が高い。オフの間中トレードの噂が絶えなかったのはそのためだ。
一時は干上がっていたファーム組織も、再浮上の兆しはあるとはいえ、それこそかつてのブライアントやバイエズ級の有望株は出てきていない。
球界屈指の資金力を誇る人気球団であっても、戦力再構築のため小休止を余儀なくされることはある。16年、ヤンキースは複数の主力選手を途中放出して若手有望株の拡充を図った。この時、トップ・プロスペクトのグレイバー・トーレスを差し出してアロルディス・チャップマンを獲得したのが他ならぬカブスだった。あれから4年。今度はカブスが同じように主力放出を余儀なくされることになるかもしれない。
文●SLUGGER編集部
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2011年10月に編成トップに就任して以降、エプスティーンのチーム作りは、アストロズと並んで現代MLBのスタンダードになった。5ヵ年計画でゼロからチームを作り直し、15年から4年連続でプレーオフに進出。16年には108年ぶりのワールドチャンピオンを達成した。
だが、躍進を支えた主力選手のサラリーが高騰し、総年俸がぜいたく税ラインを超過する一方でファーム組織は弱体化。昨季は地区3位と停滞してプレーオフ進出を逃すなど、チームが過渡期を迎えていることは明らかだ。5年間タッグを組んだジョー・マッドン監督と袂を分かち、16年の優勝メンバーでもあるデビッド・ロス監督を据えて臨む今季も、目標は一応プレーオフ進出だが前評判は決して高くない。
21年オフには、一塁手のアンソニー・リゾー、三塁手のクリス・ブライアント、遊撃手のハビア・バイエズ、外野手のカイ・シュワーバー、そしてベテラン投手のジョン・レスターら主力が、一斉にFAとなる可能性がある。特にブライアントは、球団がFA権取得時期を1年延ばすためメジャー昇格時期を遅らせたことを根に持っていて、少なくともFA前の長期契約には応じない可能性が高い。オフの間中トレードの噂が絶えなかったのはそのためだ。
一時は干上がっていたファーム組織も、再浮上の兆しはあるとはいえ、それこそかつてのブライアントやバイエズ級の有望株は出てきていない。
球界屈指の資金力を誇る人気球団であっても、戦力再構築のため小休止を余儀なくされることはある。16年、ヤンキースは複数の主力選手を途中放出して若手有望株の拡充を図った。この時、トップ・プロスペクトのグレイバー・トーレスを差し出してアロルディス・チャップマンを獲得したのが他ならぬカブスだった。あれから4年。今度はカブスが同じように主力放出を余儀なくされることになるかもしれない。
文●SLUGGER編集部
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