693日ぶりの復帰マウンドに上がった大谷翔平(エンジェルス)に、笑顔は1度も見られなかった。2018年9月2日以来の復帰登板を果たした7月26日のアスレティックス戦、3安打5失点3四球。1アウトも取れないままわずか30球で降板し、試合後の表情も冴えなかった。
「ただ投げているという感じに近かった」
大谷自身が振り返るように、投手対打者の戦いを挑めず、試合にならなかった。「ゲームの組み立ての中で、抑えられる準備をしたい」と課題を口にした。そのためにはまず、制球力の改善が求められる。大谷の登板を振り返ったミッキー・キャロウェイ投手コーチは「制球力が欠けていたのは間違いない」と話す。大谷も際どいコースの速球をボールと判定され、驚いたような表情を見せる場面もあった。開幕前3度の紅白戦で解消したはずの制球難が再び顕著に表れてしまった。
その要因の一つが、メンタル面だ。キャロウェイ投手コーチは「自信という面で改善するところがある。自分の経験を踏まえると、これはものすごく難しい。精神面はフィジカルより難しい部分。完全にフィジカル面で大丈夫だと感じた時に、彼の力は存分に発揮されるだろう」と話した。右ヒジのトミー・ジョン手術明けで当面、不安は拭えないようだ。
通常なら、マイナーでのリハビリ登板を重ねて徐々に自信を養っていくもの。今年は異例の60試合シーズンでマイナーリーグも中止となった。キャロウェイ投手コーチは「普通の選手が経験するリハビリと状況が違う。彼は今ようやく相手チームの打者と対戦しているが、普通はマイナーリーグなどで経験する。この状況は通常とは違う。彼にとっては、難しい状況にいると思う」と環境面での不利についても指摘した。
とはいえ、レギュラーシーズンの公式戦で勝利も求められる。ジョー・マッドン監督は「投球フォームというより精神的な部分。ストライクを積極的に取りにいくことが大事」と話した。復帰戦から2度目の登板間では、キャッチボールを入念に行う大谷の姿があった。課題克服へ「一番大事なのはキャッチボール。フィーリングを確かめるのに大事かなと思います」と考えている。
本来、修正能力は高い。日本時間3日に行われるアストロズ戦。結果はもちろんだが、投球内容がどれだけ改善されるか注目だ。
文●斎藤庸裕
【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。
【大谷翔平PHOTO】全米に衝撃を与えた二刀流の活躍、はじける笑顔、日本代表での秘蔵ショットも大公開!
「ただ投げているという感じに近かった」
大谷自身が振り返るように、投手対打者の戦いを挑めず、試合にならなかった。「ゲームの組み立ての中で、抑えられる準備をしたい」と課題を口にした。そのためにはまず、制球力の改善が求められる。大谷の登板を振り返ったミッキー・キャロウェイ投手コーチは「制球力が欠けていたのは間違いない」と話す。大谷も際どいコースの速球をボールと判定され、驚いたような表情を見せる場面もあった。開幕前3度の紅白戦で解消したはずの制球難が再び顕著に表れてしまった。
その要因の一つが、メンタル面だ。キャロウェイ投手コーチは「自信という面で改善するところがある。自分の経験を踏まえると、これはものすごく難しい。精神面はフィジカルより難しい部分。完全にフィジカル面で大丈夫だと感じた時に、彼の力は存分に発揮されるだろう」と話した。右ヒジのトミー・ジョン手術明けで当面、不安は拭えないようだ。
通常なら、マイナーでのリハビリ登板を重ねて徐々に自信を養っていくもの。今年は異例の60試合シーズンでマイナーリーグも中止となった。キャロウェイ投手コーチは「普通の選手が経験するリハビリと状況が違う。彼は今ようやく相手チームの打者と対戦しているが、普通はマイナーリーグなどで経験する。この状況は通常とは違う。彼にとっては、難しい状況にいると思う」と環境面での不利についても指摘した。
とはいえ、レギュラーシーズンの公式戦で勝利も求められる。ジョー・マッドン監督は「投球フォームというより精神的な部分。ストライクを積極的に取りにいくことが大事」と話した。復帰戦から2度目の登板間では、キャッチボールを入念に行う大谷の姿があった。課題克服へ「一番大事なのはキャッチボール。フィーリングを確かめるのに大事かなと思います」と考えている。
本来、修正能力は高い。日本時間3日に行われるアストロズ戦。結果はもちろんだが、投球内容がどれだけ改善されるか注目だ。
文●斎藤庸裕
【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。
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