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大谷の僚友プーホルスが通算662号で歴代5位に浮上。この記録を抜くにはトラウトでも10年かかる?

宇根夏樹

2020.09.24

01年にカーディナルスでデビューして以来、昨年まで19年連続2ケタ本塁打を継続し、ついにメイズを抜いたプーホルス。そのうち40本塁打以上は8度、本塁打王は2度獲得している。(C)Getty Images

 9月18日、エンジェルスのベテラン一塁手アルバート・プーホルスが、通算本塁打の歴代単独5位に浮上した。この日、2本のホームランを放ったプーホルスは通算で662本とし、5日前に並んだウィリー・メイズ(660本)を追い越した。

 21世紀に入ってからは通算本塁打の順位が目まぐるしく入れ替わり、歴代5位にランクインしたのはプーホルスが"6人目"だ。最初にマーク・マグワイア(583本/現11位)が、それまで5位だったハーモン・キルブルー(573本)を抜いて、2001年8月から翌年5月まで君臨。マグワイアからその座を奪ったのはバリー・ボンズで、現在は762本で歴代トップに位置する。

 ボンズが順位を上げていくにつれ、それまで4位にいたフランク・ロビンソン(586本)が5位に落ち、サミー・ソーサ(609本/現9位)がそれを抜いた。そしてソーサをケン・グリフィーJr.(630本/現7位)が抜き、さらにアレックス・ロドリゲス(697本/現4位)が抜き……という形だ。マグワイア、ソーサ、グリフィーJr.の3人は、いずれも5年と経たずに5位の座を明け渡している。
 
 プーホルスもグリフィーJr.らと同じように、5位から上の順位に進むことは難しそうだ。4位のロドリゲスとの差は34本。届きそうにも思えるが、17~19年はいずれも20本前後。このペースからすると、22年までプレーしないと追いつけない。しかもプーホルスは今年すでに40歳で、21年には10年2億4000万ドルの契約も満了する。

 ただしプーホルスの場合、トップ5に君臨できる期間はかなり長そうだ。現役2位のミゲル・カブレラ(タイガース)は通算486本(9月23日現在)で、プーホルスとは150本以上の差がある。すでに37歳で、600本塁打どころか、550本塁打到達も難しい。424本で現役3位のエドウィン・エンカーナシオン(ホワイトソックス)も37歳、417本で同4位のネルソン・クルーズ(ツインズ)も40歳とやはり高齢だ。どちらも年齢離れしたパワーを誇るが、ここからさらに250本塁打以上を積み上げるのは至難の業だろう。

 プーホルスを除く300本塁打以上の現役10選手中、600本塁打以上の可能性がありそうなのは、30歳で312本塁打のジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)と、29歳で301本塁打のマイク・トラウト(エンジェルス)くらい。しかも近年のスタントンは故障がちなので、実質的にはトラウトだけと言っても過言ではないが、それまでには少なくとも10年前後の時間を要するだろう。あのトラウトですら、それだけの時間がかかると思うと、プーホルスの凄さを改めて感じずにはいられない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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