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リーグ優勝決定シリーズ&ワールドシリーズのダブルMVPはこれまでに7人。アロザレナ&シーガーが8人目を目指す!

宇根夏樹

2020.10.24

シーガー(左)もアロザレナ(右)も、目指すは史上8人目のポストシーズンMVPダブル受賞、そしてチームの世界一だ。(C)Getty Images

 今年のリーグ優勝決定シリーズMVPは、ランディ・アロザレナ(レイズ)とコリー・シーガー(ドジャース)がそれぞれ受賞した。どちらも7試合に出場し、アロザレナは打率.321、4本塁打、10打点、シーガーは打率.310、5本塁打、11打点。レイズではチャーリー・モートンが2先発とも無失点で2勝、ドジャースでもウォーカー・ビューラーが2先発で計11.0イニングを1失点、フリオ・ウリアス8.0回を1失点と他にも候補はいたが、彼らを抑えてMVPに選ばれた。

 1977年にナ・リーグで、そして80年にア・リーグでそれぞれリーグ優勝決定シリーズMVPを選出し始めてから、同じ年にリーグ優勝決定シリーズMVPとワールドシリーズMVPを続けて受賞した選手は以下の7人だ。

79年 ウィリー・スタージェル(パイレーツ)
82年 ダレル・ポーター(カーディナルス)
88年 オレル・ハーシャイザー(ドジャース)
97年 リバン・ヘルナンデス(マーリンズ)
08年 コール・ハメルズ(フィリーズ)
11年 デビッド・フリーズ(カーディナルス)
14年 マディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)

 今年、アロザレナかシーガーがワールドシリーズMVPも受賞することになれば史上8人目、野手ではスタージェルとフリーズに続く4人目となる。
 
 また、アロザレナがワールドシリーズMVPになれば、キューバ出身選手ではヘルナンデスに続く2人目。当時のヘルナンデスも、現在のアロザレナと同じメジャー2年目で、かつフロリダ州に本拠を置くチームに在籍していた。また、この年のマーリンズは球団史上初の世界一を成し遂げたが、レイズも初のワールドシリーズ制覇を目指しているということも共通点だ。

 一方、シーガーが2シリーズ連続受賞なら、ドジャースではハーシャイザーに続く2人目となる。奇しくもドジャースは、ハーシャイザーがシリーズMVPに選ばれた88年を最後にワールドシリーズ優勝から遠ざかっている。この年のワールドシリーズは、第1戦にカーク・ギブソンが放った代打逆転サヨナラ本塁打がよく知られているが、両足を痛めていたギブソンの出場はこの1打席のみ。ハーシャイザーは第2戦でマーク・マグワイア&ホゼ・カンセコの"バッシュ・ブラザーズ"率いるアスレティックスの強力打線を完封し、優勝を決めた第5戦でも2失点完投を記録してMVPに選ばれた。シーガーがドジャース22年ぶりの世界一の立役者となれば、ハーシャイザーと同じく球団史に残る存在になれる。

 なおこれまでは、シーガーが第2戦で、アロザレナは第3戦でそれぞれ本塁打を放ったが、どちらの試合もチームは敗れている。ここから、自らの活躍でチームに世界一を呼び込むことができるだろうか。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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