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プロ野球

【2020総括・ロッテ】“新生ロッテ”は投手力と若手の力で13年ぶりのリーグ2位。リーグワーストのチーム打率改善がさらなる躍進のカギに

やまけん

2020.12.09

チーム最多の87試合で4番を務めるなど、井口監督から期待をかけられた安田(写真)。CSでは千賀滉大から本塁打を放つなどそれに応えた。写真:産経新聞社

チーム最多の87試合で4番を務めるなど、井口監督から期待をかけられた安田(写真)。CSでは千賀滉大から本塁打を放つなどそれに応えた。写真:産経新聞社

▶収穫と課題
 昨オフは鈴木大地や涌井秀章らが退団し、長年チームを支えてきた福浦和也も引退。その一方で美馬学や福田秀平をFA補強するなど、チームの顔ぶれが大きく変わった2020年。開幕前はそんな“新生ロッテ”に対して期待と不安の声が入り混じっていたものの、最終的には13年ぶりにリーグ2位でフィニッシュした。

 投手陣はリーグ最多の62QSを記録。年間を通して先発投手がしっかりと試合を作り、そこから盤石の救援陣へとつないで接戦をモノにすることが多かった。吉井理人コーチの投手運用や抜群の勝負勘も随所に働き、チーム防御率はリーグ2位の3.81を残した。

 一方、野手陣はチーム打率がリーグワーストの.235、リーグ4位タイの90本塁打と一発もあまり出なかった。だが、491四球はリーグ最多。犠打や盗塁なども絡めながら、少ないチャンスで確実に得点を重ねた。ただ、シーズン終盤はストライクゾーンに投げ込まれて簡単に抑えられる場面も多く、打力向上は来季のテーマになるだろう。
 
 10月にはチーム内で新型コロナウイルスの集団感染が発生。相次ぐ離脱者に苦しみながらも、井口資仁監督は安田尚憲や藤原恭大ら若手を抜擢するなど、将来を見据えた選手起用が光った。安田は初の規定打席に到達し、藤原もプロ第1号&2号をパ・リーグ67年ぶりの2試合連続先頭打者弾で飾るなど、来季につながる活躍があった。彼らにクライマックスシリーズの舞台を経験させられたことも、収穫であったに違いない。

 また、シーズン途中に澤村拓一やチェン・ウェインの獲得に成功するなど的確な補強も目立ち、フロントと現場の一体感を感じ取ることができた。来季以降もチーム一丸となって戦い、継続してAクラスに入れるよう期待したい。

▶2021年のキーマン
平沢大河

 来季以降、さらに上を目指すために、キーマンに“あえて”平沢を挙げたい。チーム随一の潜在能力を持ちながら、今季はヒジの故障もあってプロ入り後初の一軍出場なしという屈辱を味わった。後輩の安田や藤原らが一軍に抜擢され、来季は同じショートで好守に定評のある小川龍成(ドラフト3位/国学院大)も加入する。平沢本人も並々ならぬ危機感を感じているはずだ。

 今季は中村奨吾、藤岡裕大が二遊間コンビを組んだが、両者とも攻守で精彩を欠くシーンが散見された。まずは10月に手術したヒジの完治が最優先だが、レギュラーの2人を脅かし、チームをもう1ランク上昇させる起爆剤として、平沢の奮起に期待したい。

文●やまけん

【著者プロフィール】
1999年生まれ、千葉県出身。「一人でも多くのアマチュア野球選手がスポットライトを浴びてほしい」という思いから、関東を中心に全国のアマチュア野球の試合を年間約150試合を球場で観戦するアマチュア野球観戦者。Twitter→@yam_ak_en
 

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