プロ野球

驚異的な奪三振率を記録したモイネロ。与四球率ベストはロッテの長身右腕【表彰されざる男たち(パ・リーグ投手編)】

藤原彬

2020.12.26

9イニング平均で14個の三振を奪ったモイネロ。日本シリーズでも巨人打線をねじ伏せた。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真)

 勝利数や奪三振、防御率など個人タイトルの対象部門以外の主要カテゴリーのベスト3を紹介していく。今回はパ・リーグ投手編だ。
(※率系部門は先発で80投球回以上17人、救援で40投球回以上19人を対象)

■奪三振率(奪三振×9÷投球回)
【先発】
1.千賀滉大(ソフトバンク) 11.08
2.山本由伸(オリックス) 10.59
3.バーヘイゲン(日本ハム) 9.27
【救援】
1.モイネロ(ソフトバンク) 14.44
2.平良海馬(西武) 10.53
3.宮西尚生(日本ハム) 9.87

 千賀は2年連続で奪三振と奪三振率両方でリーグベスト。今季最多の13三振を奪った9月8日からの9登板で2ケタ奪三振5度と終盤にギアを上げ、リーグ史上最速(855.1回)で通算1000の大台にも到達した。千賀と奪三振王を分け合った山本は、昨季の7.99から大幅に向上。メジャー時代は高速2シームを武器にゴロを量産するスタイルで知られていたバーヘイゲンは、日本では三振奪取能力も発揮した。モイネロは救援最多の77三振を量産。3者三振がシーズン8試合、日本シリーズでも2試合あった。

■与四球率(与四球×9÷投球回)
【先発】
1.二木康太(ロッテ) 1.17
2.石川歩(ロッテ) 1.76
3.美馬学(ロッテ) 1.83
【救援】
1.増田達至(西武) 1.84
2.牧田和久(楽天) 2.16
3.森唯斗(ソフトバンク) 2.28

 何とロッテ勢が先発ベスト3を独占。二木は2試合で2四球を与えた以外はすべて1以下に収めて、WHIP0.91もリーグベスト。9月13日のオリックス戦では無四球完封勝利を挙げた。石川は奪三振率5.20がリーグワーストながら制球力は健在。増田は最初の22登板でわずか1つしか四球を与えなかった。
 
■被本塁打率(被本塁打×9÷投球回)
【先発】
1.千賀滉大(ソフトバンク) 0.30
2.山本由伸(オリックス) 0.43
3.バーヘイゲン(日本ハム) 0.56
【救援】
1.益田直也(ロッテ) 0.17
2.モイネロ(ソフトバンク) 0.19
3.宮川哲(西武) 0.20

 千賀は過去4年で計71本塁打を打たれていたが、今季は本拠地ペイペイドームでは4被弾にとどめて、初の最優秀防御率獲得につなげた。昨季リーグトップの山本は1位陥落も、数値は昨季(0.50)よりも優秀だった。バーヘイゲンもグラウンダーの本領発揮で7被弾に抑えた。モイネロは日本ハムとオリックスには本塁打どころか長打も許さず。新人の宮川は与四球率6.04と大荒れだったが、44.2回でわずか1被本塁打。奪三振率も9.07と優秀で、西武の勝利の方程式の一角を担った。

■K/BB(三振÷四球)
【先発】
1.二木康太(ロッテ) 6.58
2.山本由伸(オリックス) 4.03
3.バーヘイゲン(日本ハム) 3.97
【救援】
1.増田達至(西武) 4.20
2.益田直也(ロッテ) 3.12
3.モイネロ(ソフトバンク) 3.08

 二木は昨季のリーグ3位から1位にジャンプアップ。奪三振率7.67はリーグ平均程度だが、与四球率の大幅改善がここでも生きた。山本はこの数値を見ても、昨季(3.53)からのさらなる進化がうかがえる。救援部門では、セーブ数でリーグ3位以内に入ったクローザー2人がワンツーフィニッシュ。ワーストは先発が松本航(西武)の1.18で、救援は高橋礼(ソフトバンク)の1.21。だが、2人はK/BBこそ同等だったが、防御率では松本が4.37、石川は2.65と大きく差がついてしまった。