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MLB

メジャーを代表する長距離砲へとブレイク。殺人未遂で塀の中へ――日本人選手とトレードされたメジャーリーガーたちのその後

宇根夏樹

2021.01.09

デービス(左)とゴンザレス(右)は、いずれも日本人選手とトレードされた後に、メジャーを代表するスラッガーへと成長を遂げた。(C)Getty Images

デービス(左)とゴンザレス(右)は、いずれも日本人選手とトレードされた後に、メジャーを代表するスラッガーへと成長を遂げた。(C)Getty Images

 昨年12月29日、ダルビッシュ有がカブスからパドレスへトレードされた。昨オフは前田健太がドジャースからツインズへ移籍したので、これで2年続けて日本人選手のトレードが起きたことになる。

 トレードの多さは、メジャーと日本プロ野球の大きな違いの一つだ。ダルビッシュがトレードされるのは、レンジャーズからドジャースへ移籍した2017年の夏に続く2度目。他にも、トレードを2度経験した日本人選手は4人(伊良部秀輝、大家友和、マック鈴木、青木宣親)がいる。

 もちろん、交換相手もさまざま。日本人選手の交換要員として移籍した選手のうち、最もブレイクしたのはエイドリアン・ゴンザレス(元パドレスほか)だろう。2006年1月に3対3のトレードで大塚晶則がパドレスからレンジャーズへ移った時、ゴンザレスは交換要員の一人としてパドレスへ入団した。すると、移籍1年目には打率.304、24本塁打、OPS.862とブレイク。その後もメジャーを代表する一塁手として活躍し、通算317本塁打を放っている。ちなみに、大塚の交換要員としてゴンザレスと一緒に移籍したのが、のちに日本ハムや横浜でもプレーしたターメル・スレッジと、今オフにレンジャーズのGMに就任したクリス・ヤングだ。
 
 また、クリス・デービス(オリオールズ)もゴンザレスに並ぶ存在だ。デービスは、11年の夏に上原浩治の交換要員としてトミー・ハンターと一緒にレンジャーズからオリオールズへ移籍。翌12年に33本塁打を放ってブレイクすると、13年には53本塁打&138打点で二冠王を獲得。15年にも2度目の本塁打王に輝くなど、メジャーを代表する長距離砲となった。

 中には、のちに刑務所入りした選手もいる。01年の夏に大家と他1人との交換で、エクスポズからレッドソックスへ移ったウーゲット・ウルビナだ。ウルビナは1999年にセーブ王を獲得し、通算237セーブを挙げるなどクローザーとして活躍したが、05年のオフ、母国ベネズエラの自身が所有する農場で労働者5人を鉈で切りつけたとして、殺人未遂で逮捕。懲役14年を科された。

 なお、前田のトレードで昨オフにドジャースへ移ったブルスター・グラテロルは、平均球速100マイル(約160キロ)に迫るハードシンカーを武器とする豪腕リリーバー。昨年のワールドシリーズでも勝利の方程式の一角を任され、世界一に大きく貢献した。まだ22歳で、将来はメジャーを代表するクローザーへと成長するかもしれない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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