高校野球

【センバツ7日目投打のMVP】好リリーフで1点を守り切った石田隼都、パワーと脚力を発揮した松尾光気を選出!

西尾典文

2021.03.26

石田(左)も松尾(右)も決め手になったのは「大事な場面」で結果を残した点だ。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 2年ぶりの開催となった選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手が多いなか、とりわけ見事な活躍を披露した投手、野手を「その日のMVP」として選出していこう。

 2回戦もスタートした大会7日目は、以下の選手をセレクトした。

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■投手MVP
石田隼都(東海大相模3年):5回、被安打5、0失点、7奪三振、0四死球

 第3試合に登場したプロ大注目の小園健太(市和歌山)も、敗れたもののさすがの投球を見せた。しかし「7日目の投手MVP」には、最後まで失点せずに薄氷の1点を守り抜いた結果を重視して石田を選出した。

 9回から登板して最速146キロをマークした東海大甲府戦と比べるとストレートが走らず、130キロ台中盤が多かったものの、それでも腕をしっかり振り切って投げることができていた。昨年秋と比べても躍動感はアップしており、それに伴ってボールの勢いも確実に増している。

 高めに抜けるストレート、引っかかる変化球などもあり、制球に関しては1回戦と同様にやや不安定な面はあったとはいえ、最後まで攻める気持ちを持ち続け、最終回の1死三塁のピンチを連続三振で切り抜けたのは見事だった。将来を考えるともう少し緻密さが欲しいところだが、貴重なサウスポーとして今後も楽しみな存在であることは間違いないだろう。
 
■野手MVP
松尾光気(福岡大大濠3年・中堅手):5打席4打数3安打、1本塁打、2打点、1犠打

 松川虎生(市和歌山)の打撃も1回戦に続いて見事だったが、こちらも試合を決める一発を放った点を評価して松尾を選出した。打順は8番ながら、昨年秋の公式戦でもチームトップの2本塁打を放っているように、たくましい体格からの全身を使ったフルスウィングが持ち味。やや力任せなところはあるものの迫力十分で、延長11回に放った決勝のホームランの放物線は長距離砲のものだった。

 センターの守備の動きも良く、6回に放ったスリーベースでは12.00秒を切れば俊足と言われる三塁到達タイムで11.77秒をマークしているように、脚力も申し分ない。打席での強引さは気になるとはいえ、持っている能力の高さは十分であり、将来が楽しみな右の大砲候補と言えるだろう。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
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