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高校野球

「継投」が基本の東海大相模と「まずはエースに任せる」天理。勝敗を分けた両チームの投手運用

氏原英明

2021.03.31

大会序盤の2試合はリリーフ器用で負担が少なかったためか、東海大相模のエース石田はここ2試合連続完封勝利と圧巻のピッチングを見せている。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

大会序盤の2試合はリリーフ器用で負担が少なかったためか、東海大相模のエース石田はここ2試合連続完封勝利と圧巻のピッチングを見せている。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 両監督のビジョンの違いが勝敗を分けた。

 準決勝の第1試合は東海大相模が2対0で天理に完封勝ち。東海大相模はエースの石田隼都が3安打無失点の危なげないピッチングで10年ぶりの決勝進出を決めた。

 石田の独壇場だった。強気に攻める時、引いてかわす時をうまく使い分けて天理打線を翻弄。15三振を奪う支配的なピッチングだった。

 一方、天理はエース・達孝太の登板を回避。怪我による欠場だったが、代役で先発マウンドに上がった左腕・仲川一平のコーナーを丹念に突くピッチングも見事だった。立ち上がりに1失点したものの、8回までその1点に抑えて接戦を演出した。

 東海大相模は8回まで7安打。チャンスをたびたび作りながら得点できず、嫌な空気もあった。ピンチを脱するたびに、天理の反撃への空気が流れようとしていた。高校野球ではよくある光景だ。
 
 しかし、そんな空気をものともしないのが、この日の石田のピッチングだった。

 今大会で冴え渡っているのは高めのストレートだ。野球の基本は低めとよく言われるが、大胆に右打者のインコース高めを攻め、打者が的を絞ってきた頃に外にチェンジアップを落とす。両方を意識してきた時には、またズバッと行く。準々決勝の仙台育英戦で2ケタ得点を挙げた天理打線に付け入る隙をまったく与えなかった。

 石田は準々決勝に続いての先発登板だった。1、2回戦は先発を石川永稀、求航太郎に譲ってブルペンで待機。終盤にマウンドに上がって、試合を締めてきた。そして、ここ2試合は先発で快刀乱麻のピッチング。10年ぶりのセンバツ制覇を予感させる充実ぶりだ。

 石田という絶対エースを生かす門馬敬治監督のマネジメントも見逃せない。

 今大会の東海大相模は、投手陣はもちろん、野手陣もレギュラー以外を含めた多数の選手の活躍が目立つ。チーム全員で戦う空気を作れていて、門馬監督がうまく一つにまとめている。

 門馬監督は言う。「僕らの意図するところを選手が理解してくれていることがすべて。テーマに沿ってやってくれている。今年は『つながる』をチームのテーマにしています。選手一人ひとりがつながっている。個々の能力では劣るところもあるけど、つながれば束になって戦える。そういうチームになってきた」。
 

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