米球界はふたたび暗い闇に包まれるのか――。米東部時間12月2日0時(日本時間同日14時)から始まったMLBのロックアウトは、計り知れない問題を引き起こそうとしている。
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そもそもなぜ、このような事態に陥ったのか。今回のロックアウトは、オーナー側と選手会の新労使協定を巡る交渉がまとまらなかったために実施されたのだが、最大の争点は「カネ」を取り巻く問題にある。
選手会の意図は明確だ。MLBの収益が右肩上がりに浮上しているにもかかわらず、サイバーメトリクスによる効率重視の球団経営や、タンキング(意図的に低迷することでドラフト上位指名権を獲得する再建手法)の横行で年俸総額はむしろ下がっている現状に強い不満を抱いているのだ。
さらに昇格後3年間は年俸がほとんど上がらず、ようやくFA権を取得しても今度は年齢を理由に買い叩かれる選手が多い現状に策を講じるべく、選手会は年俸調停権ならびにFA権取得期間(サービスタイム)の短縮を主張。対してオーナー側は、29歳6か月で全選手がFAとなる「ユニバーサルFA」という壮大なアイデアを持ち出したが、選手会側とは合意に至らず。互いに妥協点を見いだせないまま、旧労使協定の期限である12月2日を迎えたのだ。
MLBでロックアウトが実施されるのは、1990年2月以来3度目。労使交渉が決裂に至るのも、1994年8月~95年4月のストライキ以来だ。現時点で遅くとも春季トレーニングが始まる来年2月中旬までには決着すると予想されているが、いまだ話し合いは進展していない。
26年前のストライキの際にはレギュラーシーズンの900試合以上も行なわれず、史上初のワールドシリーズ中止となり、MLBは低落期を迎えた。ゆえに今回のロックアウトも長期化すれば、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)やブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)、フェルナンド・タティースJr.ら若き逸材たちの影響によって生まれた人気に歯止めがかかりかねない。
とりわけ不安視されるのは、Z世代(1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代)の野球離れだ。米紙『The Morning Journal』のジェイク・セイナー記者は、ロックアウトによってMLBや全球団があらゆる業務停止させられた影響からSNSによる発信活動もできなくなったため、「次世代のファンの波が消える危険にさらされている」と指摘する。
「ある日、突然、SNS上で、ショウヘイ・オオタニやフェルナンド・タティースJr.のようなスターたちが消える。これが意味するものは絶望だ。以前のストライキやロックアウトを経験したことがないZ世代は、当時の若者よりも速く、あらゆるエンターテインメントを飲み込んでしまう。
それだけにソーシャルメディアにコンテンツとしていなくなれば、彼らは『何もない。じゃあ興味がない』となってしまう。仮にシーズンの開幕までに話し合いがまとまっても、一度SNSで消えてしまったMLBの人気低迷は避けられないかもしれない」
二刀流によるセンセーショナルな快進撃で、世界から熱視線を向けられた大谷。今季の彼が、強力なライバルたちを前に、走攻守で躍動する動画は、連日のようにSNS上にアップされ、途方もない再生回数を稼いでいた。しかし、MLBはいま、その“有力コンテンツ”を活かせない立場にある。これは実に不毛な現状だ。
彼らはこのまま、大谷たちの存在を無駄にしてしまうのか。いち早いロックアウトの解除が求められるが……。
構成●THE DIGEST編集部
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そもそもなぜ、このような事態に陥ったのか。今回のロックアウトは、オーナー側と選手会の新労使協定を巡る交渉がまとまらなかったために実施されたのだが、最大の争点は「カネ」を取り巻く問題にある。
選手会の意図は明確だ。MLBの収益が右肩上がりに浮上しているにもかかわらず、サイバーメトリクスによる効率重視の球団経営や、タンキング(意図的に低迷することでドラフト上位指名権を獲得する再建手法)の横行で年俸総額はむしろ下がっている現状に強い不満を抱いているのだ。
さらに昇格後3年間は年俸がほとんど上がらず、ようやくFA権を取得しても今度は年齢を理由に買い叩かれる選手が多い現状に策を講じるべく、選手会は年俸調停権ならびにFA権取得期間(サービスタイム)の短縮を主張。対してオーナー側は、29歳6か月で全選手がFAとなる「ユニバーサルFA」という壮大なアイデアを持ち出したが、選手会側とは合意に至らず。互いに妥協点を見いだせないまま、旧労使協定の期限である12月2日を迎えたのだ。
MLBでロックアウトが実施されるのは、1990年2月以来3度目。労使交渉が決裂に至るのも、1994年8月~95年4月のストライキ以来だ。現時点で遅くとも春季トレーニングが始まる来年2月中旬までには決着すると予想されているが、いまだ話し合いは進展していない。
26年前のストライキの際にはレギュラーシーズンの900試合以上も行なわれず、史上初のワールドシリーズ中止となり、MLBは低落期を迎えた。ゆえに今回のロックアウトも長期化すれば、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)やブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)、フェルナンド・タティースJr.ら若き逸材たちの影響によって生まれた人気に歯止めがかかりかねない。
とりわけ不安視されるのは、Z世代(1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代)の野球離れだ。米紙『The Morning Journal』のジェイク・セイナー記者は、ロックアウトによってMLBや全球団があらゆる業務停止させられた影響からSNSによる発信活動もできなくなったため、「次世代のファンの波が消える危険にさらされている」と指摘する。
「ある日、突然、SNS上で、ショウヘイ・オオタニやフェルナンド・タティースJr.のようなスターたちが消える。これが意味するものは絶望だ。以前のストライキやロックアウトを経験したことがないZ世代は、当時の若者よりも速く、あらゆるエンターテインメントを飲み込んでしまう。
それだけにソーシャルメディアにコンテンツとしていなくなれば、彼らは『何もない。じゃあ興味がない』となってしまう。仮にシーズンの開幕までに話し合いがまとまっても、一度SNSで消えてしまったMLBの人気低迷は避けられないかもしれない」
二刀流によるセンセーショナルな快進撃で、世界から熱視線を向けられた大谷。今季の彼が、強力なライバルたちを前に、走攻守で躍動する動画は、連日のようにSNS上にアップされ、途方もない再生回数を稼いでいた。しかし、MLBはいま、その“有力コンテンツ”を活かせない立場にある。これは実に不毛な現状だ。
彼らはこのまま、大谷たちの存在を無駄にしてしまうのか。いち早いロックアウトの解除が求められるが……。
構成●THE DIGEST編集部
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