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アメリカでも惜しまれた母国復帰。韓国屈指の左腕はなぜ、MLBから離れたのか?「早く投げたいという意思があった」

THE DIGEST編集部

2022.03.10

カーディナルスの貴重な左腕として活躍してきたキム・グァンヒョン。彼はなぜ、MLBから去ったのか。(C)Getty Images

 アジアを代表する左腕が、母国へ舞い戻った。

 去る3月8日、KBOリーグ(韓国プロ野球)のSSGランダーズは、今オフにカーディナルスからFAとなっていたキム・グァンヒョンと4年151億ウォン(約14億1400万円)の大型契約を締結したと発表した。
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 まさに青天の霹靂とも言えるビッグディールだ。現在33歳のキム・グァンヒョンは、2019年オフにメジャー挑戦。2年目となった昨季は27試合に登板して7勝7敗1セーブ、防御率3.46を記録。通算でも35試合で10勝7敗、防御率2.97と上々の成績をマークし、ゆえにFAとなった今オフも、マリナーズからFAとなった菊池雄星と並ぶ貴重な左腕として、MLB球団との交渉が囁かれた。

 米球界でも、「コスパは大きな魅力だ。ふたたびアメリカで野球をするのは間違いないだろう」(米スポーツ専門メディア『ESPN』)と見られていた。ではなぜ、実力派左腕は韓国復帰を決意したのか。それは他でもないMLBのロックアウトによる影響が大きい。

 選手会とオーナー側の新労使協定が本格化した昨年12月2日以来、MLBはロックアウトに突入。以降も両者ともに妥結できないまま、現地時間3月1日には開幕の延期が決まった。無論、多くのFA選手たちが新天地を見いだせずにいる。キム・グァンヒョンもロックアウト前に新天地を決められなかったひとりだった。

 そうした状況下で、獲得を成功させたSSGランダーズ。ディレクターを務めるリュ・ソンギュ氏は、韓国紙『News GN』で、交渉の舞台裏を明かしている。

「彼とは、彼が戻ってきた昨年10月から交渉をしてきた。そのなかで、我々は慎重に状況を注視しながら動いた。それで、MLBの開幕延期が決まったタイミングで積極的に仕掛けた。何よりもロックアウト下で、キム・グァンヒョンはとても大きなプレッシャーを感じていた。だから、本人には、『早く投げたい』『選手として活躍したい』という強い意志があった。だから、交渉を長引かせることなく、すぐに契約書にサインしてくれた」

 米球界では、キム・グァンヒョンの母国復帰を惜しむ声もある。MLB公式サイトで、カーディナルスの番記者を務めるジェフ・ジョーンズ氏は、自身のツイッターで「残念でならない」と記した。

「球団通訳のクレイグ・チョイも『これ以上ないぐらいに親切な人だった』と言うように、優れた人間性を持っていた。キム・グァンヒョンがどれだけメジャーリーグにこだわりを持っていたかは知っている。彼が本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれていたことを考えると、ロックアウトが長引く状況が残念で仕方がない」

 惜しまれながらも、キャリアのために一大決心を下したキム・グァンヒョン。入団に際して「(MLBへの)夢は諦めたくなかったが、球団から『優勝するには君が必要だ』と言われて、誠意を感じた。このチームで勝ちたい。そのプランは描けている」と自信を語ったベテラン左腕から目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部

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