球界で物議を醸した名門球団のベテランが放った“ジャッキー発言”に、当事者の怒りは収まっていない。シカゴ・ホワイトソックスのティム・アンダーソンだ。
28歳の名遊撃手が怒りの矛先を向けているのは、ニューヨーク・ヤンキースのジョシュ・ドナルドソンである。去る5月21日(現地時間)に行なわれた両軍の対決で36歳のベテラン戦士は、対戦相手のアンダーソンに向かって「おい、調子はどうだ? ジャッキー!」と連呼。メジャー初の黒人選手として知られるジャッキー・ロビンソンをいじりながら絡んでいたのだ。
当事者同士で直接的な衝突はなかった。しかし、5回裏に打席に立ったドナルドソンに対し、ホワイトソックス捕手のヤスマニ・グランダルが、アンダーソンのいるセカンドベース付近を指さして苦言。これがきっかけとなって両軍ベンチが飛び出す騒動に発展すると、試合後に原因がドナルドソンの「人種差別的な言葉」(ホワイトソックス指揮官トニー・ラルーサ談)にあったと判明した。
もっとも、試合直後にドナルドソンは「冗談のつもりだった」とし、「謝罪をしたい。(差別は)俺の意図することじゃない」と釈明。さらにジャッキーと呼んだ理由について、2019年5月に米誌『Sports Illustrated』で掲載されたインタビューでアンダーソンが「俺は現代のジャッキー・ロビンソンのように感じている」と語った部分を切り取ったとした。
しかし、このインタビューは、アンダーソンが、白人選手やスタッフが球界全体で大きな割合を占めている現在のMLBにおける黒人選手の孤独や扱いを「変えたい」とするものだった。
ドナルドソンが同インタビューをすべて読んでいたかは不透明ではある。しかし、メジャーデビューから11年が経つベテランがスポーツ界に偉大な功績を残したアスリートを、黒人選手に対するジョークの“ネタ”として扱ったのは、明らかに軽率だったと言わざるを得ないのだ。
ゆえにアンダーソンの怒りは、もはやドナルドソンへの嘆きに変化しつつある。現地時間5月24日のボストン・レッドソックス戦後には「彼(ドナルドソン)は2019年にも俺を『ジャッキー』と呼んだんだ」と明かし、「俺はその時に『あんたがそう呼ぶなら俺たちはもう二度と話す必要はない』と言っていたんだ」と続けた。
「俺からも話す気はないし、彼の言うことを聞くつもりもない。前に俺は苦言を呈していたんだ。だから、彼は何がまずいのかをハッキリと分かっているはずだ」
5月23日にMLB機構はドナルドソンに1試合の出場停止処分を科したが、はたしてそれが妥当な措置なのか。一方のドナルドソンもこの処分に異議申し立てを表明しており、事態はどのような結末を迎えるのか注目されるところだ。
構成●THE DIGEST編集部
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当事者同士で直接的な衝突はなかった。しかし、5回裏に打席に立ったドナルドソンに対し、ホワイトソックス捕手のヤスマニ・グランダルが、アンダーソンのいるセカンドベース付近を指さして苦言。これがきっかけとなって両軍ベンチが飛び出す騒動に発展すると、試合後に原因がドナルドソンの「人種差別的な言葉」(ホワイトソックス指揮官トニー・ラルーサ談)にあったと判明した。
もっとも、試合直後にドナルドソンは「冗談のつもりだった」とし、「謝罪をしたい。(差別は)俺の意図することじゃない」と釈明。さらにジャッキーと呼んだ理由について、2019年5月に米誌『Sports Illustrated』で掲載されたインタビューでアンダーソンが「俺は現代のジャッキー・ロビンソンのように感じている」と語った部分を切り取ったとした。
しかし、このインタビューは、アンダーソンが、白人選手やスタッフが球界全体で大きな割合を占めている現在のMLBにおける黒人選手の孤独や扱いを「変えたい」とするものだった。
ドナルドソンが同インタビューをすべて読んでいたかは不透明ではある。しかし、メジャーデビューから11年が経つベテランがスポーツ界に偉大な功績を残したアスリートを、黒人選手に対するジョークの“ネタ”として扱ったのは、明らかに軽率だったと言わざるを得ないのだ。
ゆえにアンダーソンの怒りは、もはやドナルドソンへの嘆きに変化しつつある。現地時間5月24日のボストン・レッドソックス戦後には「彼(ドナルドソン)は2019年にも俺を『ジャッキー』と呼んだんだ」と明かし、「俺はその時に『あんたがそう呼ぶなら俺たちはもう二度と話す必要はない』と言っていたんだ」と続けた。
「俺からも話す気はないし、彼の言うことを聞くつもりもない。前に俺は苦言を呈していたんだ。だから、彼は何がまずいのかをハッキリと分かっているはずだ」
5月23日にMLB機構はドナルドソンに1試合の出場停止処分を科したが、はたしてそれが妥当な措置なのか。一方のドナルドソンもこの処分に異議申し立てを表明しており、事態はどのような結末を迎えるのか注目されるところだ。
構成●THE DIGEST編集部
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