プロ野球

【前半戦通信簿|オリックス】投手陣の充実ぶりはリーグ優勝を果たした昨季以上!打線は復調気配も1、2番に課題<SLUGGER>

藤原彬

2022.07.26

昨季の沢村賞&MVPの山本は今季も投手陣を牽引する存在に。他の先発投手やリリーフ陣も奮闘している。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

オリックス
48勝47敗0分 勝率.505(5位/2.5ゲーム)
平均得点:3.12(6位)
平均失点:3.12(2位)
得失点差:±0(4位)

■前半戦通信簿:可もなく不可もなく
 12年ぶりに開幕戦を勝利で飾った直後に5連敗を喫しながらも、3・4月は15勝14敗と勝率5割をキープ。だが、5月は7連敗を含む9勝15敗と投打が噛み合わないちぐはぐな戦いが目につき、一時はリーグ連覇が遠のきそうな雰囲気も漂った。それでも、6月と7月はいずれも12勝9敗と勝ち越し。最終的には貯金を1つ作って首位に2.5ゲーム差で前半戦を終えた。

 昨季のリーグ優勝の原動力となった先発陣は、健在どころか10先発以上の6投手中4人が防御率2点台以下、残る2人3点台と前年以上の出来栄えだ。特に輝きを放ったのが山本由伸で、開幕戦白星に始まり6月18日の西武戦ではノーヒットノーランを達成するなど相変わらずの支配力を発揮している。故障続きの過去2年から巻き返しを図る山岡泰輔も山本に勝るとも劣らない投球を披露し、防御率1.75はチームベスト&リーグ2位。強力な二本柱を形成している。

 開幕前は課題に挙がっていたブルペンの再編も順調に進み、リリーフ防御率3.05はリーグ位3位。2年目の阿部翔太と、5年目の本田仁海が新たにセットアッパーに名乗りを挙げ、黒木優太と近藤大亮の2人もトミー・ジョン手術から復活。36歳のクローザー・平野佳寿も25セーブでリーグトップを走っている。

 一方、打線はいずれもリーグワーストの44本塁打と289得点にとどまった。特に昨季の本塁打王に輝いた杉本裕太郎が3・4月の25試合で打率.133と深刻な不振に苦しみ、宗佑磨も84試合でいまだ本塁打なし、OPS.655と不振を極めている。ただし、6・7月の平均得点はリーグ2位。打線が本来の活気を取り戻しつつあるのは好材料だ。
■後半戦のポイント
・上位打線の出塁能力改善
 打線では杉本が5月から復調し、故障などで計1ヵ月以上戦列を離れた吉田正尚も、打席に立てば高い次元のパフォーマンスを維持している。となれば、今後はテーブルセッターが出塁率をどれだけ高められるかがポイントになるだろう。1・2番を担う福田周平、宗の出塁率が3割前半のままでは、得点力増は見込めない。

・守備と走塁での得点力増
 また、守備・走塁でのマイナスも改善させたい。守備での貢献を得点に換算したUZRは-15.7、同様にベースランニングを得点換算したUBRは-15.2で、昨季と同様にリーグワースト。守備では昨季ゴールデン・グラブを受賞した宗のUZRが大きく低下(13.9→0.1)。走塁では福田のUBRがいまひとつの状態だ(3.2→0.1)、後半戦ではこの2人の攻守にわたる奮起が待たれる。

【著者プロフィール】
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

データ提供:DELTA
 
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