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元阪神助っ人による“魔改造”がカギ? マイナー降格を味わったエンジェルス俊英左腕の飛躍「才能が成長している」

THE DIGEST編集部

2022.08.07

好投を続けるデトマーズ。一時は不振状態に陥って苦しんだ左腕だが、見事にカムバックを果たしている。(C)Getty Images

 現地時間8月6日に敵地で行なわれたシアトル・マリナーズ戦で、ロサンゼルス・エンジェルスのリード・デトマーズは、またしても好投。7回(106球)を投げ、7奪三振、1失点という内容で、今季4勝目をマークした。

 小気味いいピッチングは、好調マリナーズ打線も寄せ付けなかった。

 初回から四隅を丁寧に突き、相手打者を打たせて取ったデトマーズは、チームが4点をリードした7回に2死一、二塁のピンチを招く。だが、2安打を打たれていたサム・ハガーティーを空振り三振に仕留め、見事に難を逃れた。この気迫のこもった投球には、エンジェルスのフィル・ネビン監督代行も「素晴らしかった。戻ってきてから違う男になった」と手放しで褒めちぎっている。

 ネビン監督代行が「戻ってきてから」と言うように、今季のデトマーズは開幕から好調を維持していたわけではない。5月10日(現地時間)のタンパベイ・レイズに球団史上最年少でのノーヒットノーランこそやってのけたが、その後はフォームの修正などに苦しみ、6試合で0勝2敗、防御率5.67と精彩を欠いた。6月下旬にはマイナー降格も味わっていた。
 
 大学時代にはアメリカ代表にも選出され、将来を嘱望された23歳が味わった挫折。この時のデトマーズは、「色々と試して、すべていじった。だけど、どれも感覚がしっくりとこなかった」。まさに暗中模索の最中に手を差し伸べたのは、日本球界にもゆかりがある人物だった。元阪神タイガースの助っ人投手で、現在はエンジェルスのマイナー組織でピッチングコーディネーターを務めているバディ・カーライル氏だ。

 米メディア『The Athletic』によれば、とりわけスライダーの質を向上させたいと考えたデトマーズは、カーライル氏に肩や肘の位置などフォームの徹底的な分析を依頼。約1週間という短期間ながら根本からの改善に取り組んだ。その努力の甲斐もあってデトマーズは見違えるような快投を披露。マイナーでは6回14奪三振と目に見える結果も残し、ふたたびメジャー昇格の切符を掴んだ。

 ある意味で「魔改造」と修正を経てメジャー昇格後を果たしたデトマーズは圧巻の一語。以前のようなキレ味を取り戻したスライダーが冴え、直近5試合での奪三振率は11.63と大幅に改善。ネビン監督代行も「輝かしい才能が目の前で成長しているのを感じるよ」と脱帽するほどだ。

 トッププロスペクト級の逸材が枯渇気味のエンジェルスにあって、貴重な成長株であるデトマーズ。彼の飛躍は、今季も低調なチームで数少ない明るい話題と言えるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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