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プロ野球

物議を醸す日本ハム新球場「ファウルゾーンの広さ」問題。事の発端は野球規則の“解釈”にあった?

THE DIGEST編集部

2022.11.08

エスコンフィールドで話題を呼ぶ「本塁からバックストップまでの距離」問題。メジャーで2020年に完成した球場では、その距離わずか12.8mと“解釈”に違いが。(C)Getty Images

エスコンフィールドで話題を呼ぶ「本塁からバックストップまでの距離」問題。メジャーで2020年に完成した球場では、その距離わずか12.8mと“解釈”に違いが。(C)Getty Images

 11月8日、プロ野球界に大きな衝撃が走った。日本ハムが北海道北広島市に建設中の新球場「エスコンフィールド北海道」が、公認野球規則に定めるホームベースからバックネット側のファウルゾーンの広さ規定を満たしていないことが判明したのだ。

 公認野球規則では、試合を行う競技場の構造についての記述があり、規則2.01において「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレーの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18・288m)以上を『必要』とする」と明記されている。しかし、「エスコンフィールド北海道」はホームベースからバックネット側のフェンスまでの距離が約15mしかなく、これが俎上に上がっているというわけだ。

 日本ハムは3日に新球場をメディア向けに公開し、工事は約95%が完了。来年3月に向けての開場まで順調に思われたが、このタイミングで大きな問題が浮上してしまった。実際、現在の12球団本拠地球場の距離を見ると、最長で横浜スタジアムの23.8m、最短では18.3mで東京ドームやマツダスタジアムなど6球場がこのサイズにあたる。エスコンフィールドは従来よりも3m短いことになる(ちなみに札幌ドームは24.5m)。

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 では、なぜこの問題が発生したのか。理由は2つ考えられる。一つは野球規則の「言葉の違い」だ。先述した日本の規則では、今回問題の距離は「60フィート(18・288m)以上を必要」と書かれている。公認野球規則はアメリカの公式規則『Official Baseball Rules』を基本的には翻訳したものであり、“本場”での記述も確認しておきたい。原文はこうだ。
 
「It is recommended that the distance from home base to the backstop, and from the base lines to the nearest fence, stand or other obstruction on foul territory shall be 60 feet or more.」

 翻訳すると、「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレーの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18・288m)以上」までは公式野球規則と同じ。問題は「It is recommended」の部分にある。日本ではこの箇所が「必要とする」になっているが、原文では「推奨される」とあり、必要条件ではないのである。

 実際、メジャーリーグではこの60フィートを満たしている球場はわずか2球場だけで、大半が16m以下。最短ではカウフマン・スタジアム(カンザスシティ・ロイヤルズ)の12.7mといった具合だ。2020年に開場したグローブライフ・フィールドも42フィート(12.8m)であり、少なくとも本場アメリカでは重視されていないのは間違いない。

「日本は日本!」という意見ももっともではあるが、規則が両国ともほぼ同じな中でこのセクションの「必要/推奨」と異なっているのは、可能性として“誤訳”とも考えられなくもない。そこに付随する形で、今回の問題が浮上したもう一つの理由として考えられるのが「設計会社」の違いだ。

「エスコンフィールド北海道」の設計会社はアメリカのテキサス州に本社を持つ全米最大手のHKS。これまで数多くのリゾートホテルや球場も手掛けてきた会社で、今回は大林組との共同建設を担当した。メジャーではほとんど注視されない規則で、これまで携わった球場も60フィート以下だったことを考えれば、“推奨”通りに設計したことも考えられる。

 これまでの球場紹介映像でも、日本ハムは臨場感を味わえるとして「15m」の距離感をアピールしていた。その中で指摘を受けた規則との違い。果たして落としどころはどこになるのか。球団並びにNPBの見解を待ちたいところだ。

構成●THE DIGEST編集部
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