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イチローを心の師とする“空振りしない男”。栗山ジャパン参戦の可能性が高まった巧打者スティーブン・クワンは何者か

THE DIGEST編集部

2022.11.19

小柄ながらコンタクト力に優れていたクワン。そんな彼が憧れを抱くのはイチローだ。(C)Getty Images

小柄ながらコンタクト力に優れていたクワン。そんな彼が憧れを抱くのはイチローだ。(C)Getty Images

 いよいよ来年3月に開幕が迫ったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕に向け、各国が着々と準備を進めている。そのなかで3大会ぶりの世界制覇を狙う日本は、11月17日に米球界で「二刀流」の一大フィーバーを巻き起こした大谷翔平(エンジェルス)が参戦を表明。世界から熱視線が注がれた。

 投打で違いを生み出せる偉才の参戦によって戦力、そして大会に向けた士気は一気に高まった侍ジャパン。しかし、栗山英樹監督率いるチームは水面下でさらなる強化を継続しているようだ。18日には一部メディアで、ダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)と、日本代表入りの資格を持つラーズ・ヌートバー(カーディナルス)とスティーブン・クワン(ガーディアンズ)を招集する方針だと報じられた。

 過去4大会で日本は代表資格を持つ外国籍選手の招集は行なってこなかった。しかし、今大会は「思いっ切り探してます」という栗山監督が米国視察でスカウティング。最強チームの形成のためにヌートバーとクワンの両者に白羽の矢が立った。

 昨年6月にメジャーデビューを飾ったばかりのヌートバーも必見だが、とくに興味深いのは巧打者のクワンだ。

 今季にメジャーデビューを飾った25歳は、1901年以降では初の「デビューからの4試合で15出塁」という快挙を達成。さらに初打席から129球目連続空振りなしというずば抜けたバットコントロールは秀逸の一語だ。レギュラーシーズンでの最終的な打率.298と3割を切ったが、空振り/スイング率はメジャー全体2位の5.5%というハイアベレージを残した。
 
 一見すると、177センチ、77キロのクワンは頼りないように見えるかもしれない。しかし、何よりも確実性の高さは、栗山監督が目指す「勝つ確率が高いなら、何でもしてやる」というスタイルにもマッチする。また、今季にゴールドグラブに輝いた外野での守備にも定評があり、まさに攻守での貢献が期待できる。

 父は中国系アメリカ人、母は日系アメリカ人(祖父母は山形出身)というアジア由来の出自である25歳の“心の師”はイチローだ。MLB公式サイトの取材でクワンは「僕にとっても彼は誇りだった」と語っている。

「イチローはホームランを打つわけでもなく、筋骨隆々だったわけでもない。でも、仕事はきちんとこなすんだ。毎日のように成功を収める彼の姿を見ていたよ。本当に僕にとってスーパースターだったんだ。小柄で、明らかにアジア人だと分かる見た目の彼が、あれだけのことをやってのけたという事実が何よりも誇らしかった」

 かつて日本を「世界制覇」に導いたレジェンドのように、クワンが侍ジャパンの覇権奪回に寄与するとなれば、実に興味深い物語となりそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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