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無念の“炎上降板”も「悪いことばかりではなかった」。強打者の餌食になった藤浪晋太郎を米メディアはどう見た?

THE DIGEST編集部

2023.04.02

勢いに乗ったエンジェルス打線を食い止めきれなかった藤浪。彼のデビュー戦を現地メディアはどう見たのか?(C)Getty Images

 良いも悪いもすべてが出たデビュー登板だった。

 現地4月1日、オークランド・アスレティックスの藤浪晋太郎は、本拠地でのロサンゼルス・エンジェルス戦に先発登板。2回1/3(55球)を投げ、被安打5、4奪三振、与四球3、8失点で降板した。

 いわゆる"炎上"での悔しい降板だった。悔恨の念は地元放送局『CBS Sports』の取材などで「ちょっと、考え過ぎて変化球中心になってしまった。もう少し、真っ直ぐで押せてたら」と落胆した本人のコメントからも滲み出る。

 もっとも、立ち上がりの内容は抜群だった。最速99マイル(約159.3キロ)の4シームに、スプリットを織り交ぜた投球で打者を翻弄。初回にはメジャーを代表するスラッガーであるマイク・トラウトから空振り三振もマークした。

 とりわけこの日の藤浪のスプリットは冴えていた。昨季のメジャー平均を超える球速91.8マイル(約147.7キロ)を叩き出し、対峙したテイラー・ウォードに「『ワオッ』って感じさ。消えたようで、ボールが見えなかった」と言わせたほどだ。

 だが、3回に突如として乱れる。阪神時代からの"悪癖"が顔を覗かせたのだ。先頭のルイス・レンヒーフォに四球を与えてしまった藤浪は、そこから思うように制球が定まらずに、勢いに乗った相手の歯止めをかけられず、同世代の大谷翔平にも逆方向に弾丸ライナーのヒットを許すなど、打者9人の猛攻で6失点。2巡目を迎えるところで、"世界最高峰"の舞台に立つ厳しさを突き付けられる格好となった。
 
 不安を残す内容で降板を余儀なくされた藤浪。では、この新戦力の初陣を地元メディアはどう見たのか? 『CBS Sports』は「最終的には、酷い結果となった。だが、2回までに4奪三振を奪ったフジナミが実力の一端を見せたのも確かだ」と断言。そして、「13回の空振りのうち6つは93マイルのスプリッターで奪ったものだった」と紹介し、次のように続けている。

「フジナミにとって悪いことばかりではなかったわけだ。彼はこの先もメジャーのローテーションにふさわしいことを証明するチャンスが与えられるのは間違いない。しかし、フジナミは、彼に最も適しているのはリリーフだと考えていたことは覚えておくべきだ。今後も今回のような短いイニングでノックアウトされる投球が続けば、アスレティックス首脳陣には配置転換の選択肢も出てくる」

 防御率も30.86にまで跳ね上がった藤浪。甲子園を沸かせた剛腕は、群雄割拠のメジャーで生き残るべく、どのような修正をしていくのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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