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MLB

電子決済での軽食注文に球界初の感覚過敏者向け観戦ルーム――マーリンズがピッチクロック時代に打ち出す新しい観戦形態<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.06

急速にピッチクロックに適応する中で、ひそかに球場満足度という弊害も発生。果たしてマーリンズの対策とは?(C)Getty Images

急速にピッチクロックに適応する中で、ひそかに球場満足度という弊害も発生。果たしてマーリンズの対策とは?(C)Getty Images

 今季からMLBに導入された新ルール「ピッチクロック」は、“時短”に大きな効果を挙げている。何しろ、1試合の平均試合時間は昨年と比べておよそ30分も減少。明らかにテンポが良くなってファンからも好評を得ており、狙い通りの効果を挙げているといっていい。

 だがその一方で、ファンの球場滞在時間も短くなるという弊害も発生している。これによって、各球団はビールや軽食の売り上げの低下に悩まされている。一部の球場ではビールの販売時間を延ばしたりもしているが、これにも問題があるとあって、各球団はそれ以外の解決策を考案すべく試行錯誤を続けている。

 そんな中、ひと足早くさまざまな対策を打ち出したのがマーリンズだ。

 マーリンズはまず、自分の席で軽食や飲み物を注文できるシステムを導入。スマホアプリからメニューを選んで電子決済すれば、準備が出来たらテキストメッセージで知らせてくれるので、後は取りに行くだけ。行列に並ぶことなく、ビールやホットドッグを買うことができるようになった。
 
 電子決済自体は他の球場でも導入されている。席種によっては自分の席までデリバリーすらしてくれるところもあるので、これ自体が目新しいというわけではない。マーリンズは他にもいろいろと、ファンの満足度を高める施策を講じている。

 WBC決勝の舞台にもなった本拠地ローンでポ・パークでは、今季から授乳室の空き状況をアプリで確認できるようになった。また、聴覚や視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごすことができるセンサリールームも新たに設置。大きな音や眩しい光、人混みなどが苦手な人でも、落ち着いた環境でスポーツ観戦を楽しむことができるように作られている。球団によれば、センサリールーム設置は北米プロスポーツ界でも最初の試みだそうだ。

 他にも、球団発足30周年を記念して、チームの歴史を楽しみながら学べるミニ博物館も設置。観客動員数は決して多いとは言えないマーリンズだが、こうした努力が実って球場を訪れたファンの満足は確実に上がっていると、地元紙『マイアミ・ヘラルド』は報じている。

 ピッチクロック導入による球場滞在時間の問題は、新しい観戦形態を切り拓くきっかけになるのかもしれない。

構成●SLUGGER編集部
 

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