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球界最高年俸を手にするメッツのダブルエースがともに防御率4点台とまさかの不振。チーム停滞に金満オーナーもイライラ…<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.14

2010年代前半にもタイガースでダブルエースだったシャーザー(右)とバーランダー(左)。久々の“再結成”にメッツファンも喜んでいたのだが……。(C)Getty Images

 現地6月13日、本拠地で行われたヤンキース戦に先発したメッツのマックス・シャーザーは、4回表に5点を失ってKO。ついに防御率は4点台(4.45)に突入してしまった。サイ・ヤング賞をこれまでに3度受賞し、球界史上最高年俸となる4333万ドルを得ているとは思えない、あまりにも不甲斐ない結果だ。

 しかもメッツでは、同じく4333万ドルの年俸を得ているジャスティン・バーランダーも防御率4.85と絶賛低迷中。今季最大の売り物になるはずだったダブルエースの不振もあり、地区4位と低迷するチームは浮上のきっかけをつかめずにいる。

 2022年にメッツに加入し、今季はマーリンズとの開幕戦で初白星を挙げたシャーザーだが、その後はピリッとしなかった。19日のドジャース戦では、3回の検査でグラブに粘着物質を付着させていると判定されて退場処分を受ける一幕もあった。

 不振の理由は判然としないが、シャーザー本人の弁によれば、今季から導入されたピッチ・クロックがお気に召さないらしい。「まるで手錠をつけられているようなもんだ」と公然と不満を漏らしているが、ルールはルール。一刻も早く適応する必要があるだろう。
 
 一方、昨季はアストロズでサイ・ヤング賞を受賞し、昨オフに2年8667万ドルで加入したバーランダーは、肩の炎症で開幕から1ヵ月出遅れ。復帰後もピリッとしない。特に6月8日のブレーブス戦での前回登板では今季最短の3回KO。不甲斐ないピッチングには本人もフラストレーションがたまっているようで、「給料通りの働きがまったくできていない」と反省しきりだ。

 2人の不振もあって、メッツの先発防御率はリーグワースト3位の4.95まで低下。総年俸は史上最高額の3億3000万ドルを誇るにもかかわらず、結果が出ていないとあって、ビリー・エプラーGMやバック・ショーウォルター監督には解任の噂もささやかれるほどだ。スティーブン・コーエン・オーナーは「誰かを解雇するつもりはない」「状況が良くならないということはない」と語りつつも、「私はイライラしている」と立腹していることは認めている。

 チーム状況を改善するためには、総年俸のおよそ4分の1を占めるダブルエースの復活が不可欠だ。ともにサイ・ヤング賞を3度受賞した球史に残る大エースが本来の実力を発揮するだけで、大きな起爆剤になるはずだ。

構成●SLUGGER編集部