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高校野球

「打球がまず来ない」「そのうち“打ってくれる”は大間違い」センバツ開幕、新基準の“飛ばない”バットで求められる戦い方とは?

氏原英明

2024.03.18

今大会から新基準の低反発バットが導入された高校野球。戦い方にも変化が見られている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

今大会から新基準の低反発バットが導入された高校野球。戦い方にも変化が見られている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 延長タイブレークまでもつれた開幕戦は八戸学院光星が5-3で関東一に競り勝った。

「あんまりヒットは続かないだろうなと。連打連打っていうような試合展開やそのうち打ってくれるやろうと思ったら大間違いだなっていうのを頭に入れて戦っていました」

【動画】9回、八戸学院光星がライトへの犠牲フライで追いつく!
 八戸学院光星の仲井宗基は試合をそう振り返った。

 低反発の新基準バットが導入された今大会。本塁打が減る、いつものバッティングができないなどの評判が囁かれたが、そのなかでチームに求められたのは戦い方だった。

 やはり、最初の試合の印象は点差がつきにくいということだった。

 8回裏に関東一の3番打者・越後駿祐まで長打が一本も出ないという試合展開でバットの影響をもろに感じた。これまでなら外野の間を抜けたり、頭を越えていたような打球が伸びを欠き、接戦を演出していた。

 関東一が5回裏に1点を先制。試合を優位に進めたが、攻撃力が武器の八戸学院光星が反撃に出る展開も、なかなか追いつくことはできなかった。今まで通りではない一方、両者が考えなければいけなかったのはどう守り、どう得点をあげていくかだった。

 攻撃に関していうと、関東一はもともとつなぎを身上とするチームだった。単打と足を絡めて得点を重ねていく。これまでもそうだったし、昨秋の神宮大会2回戦で大阪桐蔭を破ったのも力でねじ伏せたわけではなく、投手の足元に狙いを定めて打ち返していくようなスタイルだった。

 1点の先制は盗塁を絡めてのものだったし、それ以外にもバントやエンドラン、セーフティスクイズをするなどの多彩な攻めで試合の主導権をにぎりにかかっていた。それはいつもの関東一の野球だった。

 一方で、ディフェンス面においては、関東一の意図は大きく感じられた。例えば、走者を二塁に置いた場面で、必ずといっていいほど関東一の右翼手・成井聡は前目のポジションをとった。これは新基準バットを意識しての新しい守り方だ。

 成井が話す。

「バットが変わっているので、打球がまず来ないっていうのを頭に入れました。だから、ランナーが二塁にいる時は練習試合の時から今まで以上に前にポジションを取るようにしています。今日もそのポジショニングで防げたと思う」
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