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「言葉で表せない感覚」大谷翔平が決別を示唆する『彼』呼びから『一平さん』に変えた”心情”に地元メディア同情

THE DIGEST編集部

2024.03.27

大谷(左)は声明発表で、かつての相棒である水原(右)氏を「彼」呼ばわりしていたが、次第に普段の呼び名に変えた。(C)AP/AFLO

 裏切られた盟友への心情が垣間見えた。

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平が現地3月25日、専属通訳だった水原一平氏を巡る違法賭博問題の経緯について、本拠地ドジャー・スタジアムで声明を発表。約一週間、沈黙を貫いてきたスーパースターが初めて報道陣に対応した。

 会見の席で大谷は、自らの賭博関与や違法ブックメーカーへの巨額送金を真っ向から否定。「結論から言うと、彼(水原氏)が口座からお金を盗んで僕の周り、みんなに嘘をついていた」と語り、プロ野球・日本ハム時代から気心の知れた相棒の信じられない裏切り行為を認めた。

 真っ直ぐに報道陣の目を見て話した大谷は冷静な口調ながら「僕自身も信頼していた方の過ちだったので、悲しくてショックです」と落胆の色を隠せなかった。元相棒が巨額の借金を抱えていたことも知らず、さらにはチームメイトや球団関係者、代理人弁護士らにも"新たな嘘"をついていたことも、深く傷ついた。

 水原氏の違法賭博を知ったのは韓国での開幕戦後のチームミーティングだと明かすと、「そのミーティングで一平さんは英語で話していて、通訳もいなく、完全に理解できていなかったが、何となく違和感を感じていた」と率直な思いを述べた。続けて、「一平さんは僕に対して『ホテルに帰って、より詳しいことをふたりで話したいので、待ってくれ』と言われたので、ホテルまで待つことにした。(水原氏が)ギャンブル依存症であることも借金があることも知らなかった」と語った。

 ホテルで水原通訳と話したが「これはおかしい」と察知し、すぐに嘘をつかれていたと気づいた。「弁護士の皆さんに話をして、ドジャースの皆さんもみんな彼に嘘をつかれていたと知りました。弁護士の皆さんは『これは窃盗と詐欺だ』ということで当局に伝えた、という流れです」と告発に至るまでの経緯を説明した。
 
 約11分間の声明で大谷は序盤、決別を示すかのように水原氏のことを「彼」と呼んでいた。しかし、次第に「一平さん」と普段の呼び名に変わっていき、公私ともに良きパートナーだった水原氏への友情を窺わせた。

 MLB韓国シリーズでの第2戦から代理通訳を務めたウィル・アイアトン氏が言葉を英語に訳している間も、沈痛な表情を浮かべていた日本人スターは会見の終盤で言葉を詰まらせながら、複雑な胸の内を覗かせた。

「正直ショックという、う~ん。言葉が正しいとは思わないですし。それ以上の…う~ん。うまく言葉で表せないような感覚で、この一週間はずっと過ごしてきたので。今はそれを言葉にするのは難しいなと思っています」

 大谷の苦しい胸中は地元メディアも察していた。ドジャース専門メディア『Dodgers Nation』によると、チームの地元テレビ局『SportsNet LA』のリポーターを務めるキルステン・ワトソン氏は「ミズハラ氏の賭博疑惑に対するショウヘイ・オオタニが発表した声明を受けて、ドジャースは彼を引き続き支持します」と報告。大谷の心中に同情を寄せた。

 現状、話せる範囲で思いの丈を吐いたスーパースターは「(シーズンに)気持ちを切り替えるのは難しいが、今日皆さんと話ができて良かった。質疑応答はしませんが、さらに進んで行きます」と決意を示し、現地28日からの本拠地開幕戦(セントルイス・カーディナルス)に照準を合わせた。

構成●THE DIGEST編集部

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