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魔球“ヨーヨーカーブ”の割合が急上昇する一方でカッターはほぼ封印?...開幕3登板に見る山本由伸の「修正能力」<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2024.04.08

メジャーデビュー戦はまさかのKOを食らった山本だが、続く2登板で修正能力の高さを見せつけた。(C)Getty Images

 4月6日(現地)、敵地でのカブス戦でメジャー初勝利を挙げた山本由伸(ドジャース)。韓国でのデビュー戦で1回5失点KOと誰も予想だにしないスタートを切ったが、続く2登板はいずれも5回無失点とすぐさま立て直してみせたのはさすがの一言だ。

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 最大の「アジャスト」は球種の選択だ。メジャー初登板では、日本時代から決め球として多用し、アメリカのメディアからも注目を浴びていたスプリッターがうまく機能せず。すると、2登板目からはカーブを効果的に使う場面が増加。大きく浮き上がって、ゾーンの低めいっぱいに決まるカーブは、カーディナルスやカブスの各打者を文字通り翻弄した。

 スタットキャストによると、山本のカーブはMLB平均よりも7.7インチ(約19.6cm)も縦変化が大きく、これは堂々両リーグ1位。それだけではない。マックス・フリード(ブレーブス)やディラン・シース(パドレス)など、MLBを代表するカーブの使い手と違い、山本のカーブは横変化も大きいのが特徴だという。

"ピッチング・ニンジャ"こと投球分析家のロブ・フリードマンは、特殊な投法から"ヨーヨーカーブ"と命名。MLB.comのデビッド・アドラー記者は、デビュー戦でジャクソン・メリル(パドレス)からメジャー初三振を奪ったカーブを「a thing of beauty(美しきもの」と表現するなど、アメリカではこのカーブへの注目が日増しに高まっている。
 一方で投球割合が激減している球種もある。カッター(カット・ファストボール)だ。デビュー登板では全43球中11球、25.6%の割合でカッターを投げていたが、続く2登板ではそれぞれ2球、1球のみ。実質上、レパートリーから外れたような形だ。

 ちなみに初登板ではこのカッターでジュリクソン・プロファーから三振を奪った一方、テイラー・ウェイドにはライト前タイムリーを浴びて5点目を献上した。

 カーブとスプリッターだけで十分と判断した結果なのか、それともカッター自身に何かしっくりきていないものを感じているのかは、少なくとも現時点では不明。ただ、セットポジション時のグラブの位置も含め、日本時代から定評のある修正能力の高さをメジャーでも早い段階から発揮できているのは心強い。

 世界中から猛者が集まるMLBで生き残るために最も必要なのは「アジャスト能力」だと言われる。最初の壁を難なく超えてみせた山本。今後の投球にも期待できそうだ。

構成●SLUGGER編集部

「ストライクゾーンに"虹を架ける"」山本由伸の"ヨーヨーカーブ"をMLB公式記者が高評価「多次元的で、打者は手を出せない」「球界最高の変化球のひとつ」

「ストライクゾーンに"虹を架ける"」山本由伸の"ヨーヨーカーブ"をMLB公式記者が高評価「多次元的で、打者は手を出せない」「球界最高の変化球のひとつ」

 
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