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「自動車ローンの返済」とついた嘘が通じず口座は一時凍結…いかにして水原一平氏は2度目のアタックで銀行を騙し切ったのか

THE DIGEST編集部

2024.04.13

次々に明かされた水原氏(左)の巧妙な手口。大谷(右)は口座の不正アクセスにまったく気づいていなかった。(C)REUTERS/AFLO

次々に明かされた水原氏(左)の巧妙な手口。大谷(右)は口座の不正アクセスにまったく気づいていなかった。(C)REUTERS/AFLO

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平と元通訳である水原一平氏を巡る違法賭博スキャンダルは現地4月11日、大きな転換点を迎えた。同日に米ロサンゼルスの連邦検察が水原氏に対し、銀行詐欺罪での訴追を発表。35ページに及ぶ訴状で明らかになったのは、水原氏が積み重ねた巧妙な手口や賭博胴元との生々しいやりとりの数々だった。
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 新たな事実も続々と飛び出した。大谷の口座から送金された額は1600万ドル(約24億5000万円)以上とされ、当初報じられていたよりも3倍を超える驚きの数値。違法賭博による純損失額は4068万ドル(約62億円)に達しており、ブックメーカーへの借金支払いだけでなく、価値の高い野球のトレーディングカードを総額32万5000ドル(約4880万円)で約1000枚も購入していたという。それも大谷の口座から購入サイトに振り込まれ、連邦検察は転売が目的だったと見ている。

 いくつかある大谷の銀行口座のなかで、水原氏が掌握したのは球団から給与が振り込まれる口座だった。では、いかにして水原氏はその口座を自由に扱えるようになったのか。訴状によれば、当該の口座は2018年に大谷が初めて渡米した際、アリゾナ州で水原氏の手助けの下で開設された。水原氏がアクションを起こしたのは、違法賭博の借金が膨らんでいた2022年2月2日。銀行に電話をかけ、口座からのオンライン送金を開始する手続きを行なった。その際、水原氏は電話口で大谷になりすましていたという。

 最初に電話に応じた銀行員に対して、水原氏は「自動車ローンの返済」を理由に挙げたが成功せず、オンライン上で口座は一時凍結されてしまう。それでも数時間後に再トライ。今度は別の銀行員が応対し、セキュリティチェックと本人確認のため、大谷に関する個人的な質問を投げかけられた。そのすべてにきっちり回答した水原氏は凍結解除に成功し、その後何度の送金を繰り返し、1600万ドルを超える資金を流用することになる。
 
 当該の口座に関して、大谷の代理人であるネズ・バレロ氏や財務担当者らはアクセスできなかった。大谷の代弁者であった水原氏が「この口座に大谷は関与してほしくないと言っている」と突っぱねたためで、バレロ代理人たちはその言葉に騙されたのだ。大谷は訴状のなかで、バレロ氏たちがすべての口座を管理していると信じていたし、当該口座にアクセスできる権利を誰にも与えていないと明言している。水原氏は自身の電話番号とメールアドレスへのひもづけ変更も行ない、外堀を完全に埋めていった。

 現地報道によると、今回のような巨額被害をもたらした銀行詐欺罪の場合、水原氏には禁固30年の実刑が言い渡される可能性があるという。ただ司法取引で罪を認めれば、禁固5~6年に軽減されるケースもあると伝えるメディアもあり、さまざまな憶測が飛び交っている。いずれにせよ、水原氏への厳罰は免れない情勢だ。

構成●THE DIGEST編集部

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