ゼロを刻み続ける日本人左腕の快投が止まらない。

　現地５月18日、シカゴ・カブスの今永昇太が本拠地でのピッツバーグ・パイレーツ戦に先発。７回（88球）を投げて４安打７奪三振１四球無失点の好投を見せ、防御率は驚異の0.84をマークしたが、またも打線の援護がもらえず今季６勝目はお預けとなった。

　中４日で登板したカブスの”ドクター・ゼロ”は、この日も健在だった。今永は立ち上がり先頭打者を四球で歩かせたが、以降は２つの空振り三振を奪うなど無失点。２回はわずか６球で終えると、３回は外野フライと内野ゴロ２つに仕留めた。

　４回は簡単に２アウトを取ったあと、この試合初ヒットを献上したがニック・ゴンザレスをスプリットであっさり右飛に打ち取った。５回を三者凡退に抑え、６回もストライク先行のテンポ良いピッチングで凡打の山を築き、わずか２安打とパイレーツ打線を手玉にとって封じる。

　ところが、相手先発ベイリー・ファルターも素晴らしいピッチングで対抗。こちらはカブス打線を６回まで１安打１四球無失点。今永を上回る快投で、手に汗握る投手戦となった。

　７回もマウンドに上がった今永はゴンザレスから６つ目の三振を奪ったが、２アウトから連続ヒットで一、二塁と初めて得点圏にランナーを背負う。８番のマイケル・テーラーと対峙した左腕はギアを一段階上げ、146キロの直球とスプリットで連続ファウルで追い込む。本拠地ファンから拍手のエールをもらった背番号18は、外角低めに投じたスプリットで見事に空振り三振。最大のピンチを切り抜けた今永はマウンドで雄叫びを上げ、シカゴの観衆を大いに沸かせた。

　なんとか日本人ルーキーの好投に応えたいカブス打線だったが、直後の攻撃も無得点。８回は２番手マーク・ライターJr.にマウンドを譲り、今永に勝敗は付かなかったが、防御率0.84は言わずもがなメジャートップをキープ。先発投手として驚異的な数字を刻み続けている。

　なお、試合は９回裏に４番クリストファー・モレルが劇的なサヨナラ打を放ち、カブスが１対０で勝利を収めた。
  　ゼロを継続する日本人左腕に地元メディアは感服している。カブス専門メディア『Cubs Zone』は「ショウタ・イマナガは７イニングを投げ切り、ハイテンションだ！」と綴り、今永が最後の打者から渾身の三振を奪って吠えた熱いシーンを共有した。

　MLB公式サイトによると「1913年以降、開幕投手以外で通算９試合での先発でイマナガが記録した防御率0.84は最も低い数字だ」と記し、30歳のオールド・ルーキーがメジャーの歴史に新たな１ページを刻んだと報告。米放送局『ESPN』の敏腕野球記者であるエンリケ・ロハス氏も、その情報を共有したうえで今永のスタッツを列挙。日本人左腕の無双っぷりに脱帽していた。

　MLB１年目ながら、卓越したピッチングでメジャーの猛者をきりきり舞いさせる今永。日本人ルーキーの快進撃は止まらない。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】今永昇太がゼロ行進！７奪三振無失点の快投で防御率は驚異の「0.84」