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【2024ドラフト候補ランキング最終版解説】明治大・宗山、関西大・金丸が頭一つ抜けた存在。ドラフト当日は球団間の駆け引きにも注目<SLUGGER>

西尾典文

2024.10.20

金丸(左)、宗山(中)に続く3位に入ったのは花咲徳栄の石塚(右)。スケールの大きな遊撃手として高評価を集めている。

 8月に発表したランキングと比べて上位に大きな変動はないが、プロ志望届を提出しながらメジャー球団との契約を目指すこととなった森井翔太郎(桐朋高)は対象外とした。

【表】2024ドラフト候補ランキング最終版1~50位一覧

 特に目玉として頭一つ抜けている印象を受けるのが、金丸夢斗(関西大・投手)と宗山塁(明治大・遊撃手)だ。昨年の時点でも評価は高く、1年間その地位を守り切ったと言えるだろう。

 金丸は春のリーグ戦終盤に腰を痛めて飽きはリリーフでの登板となっているものの、制球力の高さとボールの勢いはやはりレベルが違う印象を受ける。今年ルーキーながら10勝を挙げた武内夏暉(西武)の大学時代と比べてもあらゆる点で上回っており、コンディションさえ維持できれば1年目から先発ローテーションの一角として期待できるだろう。

 宗山も春は怪我に苦しんだが、秋は見事に復活してヒットを量産。守備が話題になることが多いが、高いミート力とパンチ力を備えた打撃も極めて高いレベルにある。10月17日時点ですでに広島が1位指名を公言しており、どれだけ入札が増えるかに注目が集まる。

 3位に浮上してきたのが石塚裕惺(花咲徳栄高)だ。U-18侍ジャパンの壮行試合でも1人だけ大学日本代表に負けないプレーを見せ、4歳若いということから高く評価した。宗山を避けて石塚に入札する球団が出てくる可能性も高い。続くのが渡部聖弥(大阪商業大)と西川史礁(青山学院大)の2人。打者としては甲乙つけがたいが、脚力と肩の強さ、そしてサードを安定して守れる点から渡部を上とした。

 投手で金丸に次ぐのが中村優斗(愛知工業大)だ。勝ち切れない試合が多いのは課題だが、スピードは間違いなくアマチュアNo.1。金丸を避けて単独指名を狙う球団もありそうだ。
 ここまで挙げた6人は1位指名の可能性が高いが、それ以外は少し流動的な印象を受ける。高校生では今朝丸裕喜(報徳学園高)、藤田琉生(東海大相模高)、斎藤大翔(金沢高)が有力候補。今朝丸と藤田はスケールと完成度を兼ね備え、まだまだ伸びそうな将来性も魅力だ。斎藤はショートの守備なら高校生でもNo.1で、脚力の高さも光る。即戦力よりも将来性を重視する球団は早く指名してくるだろう。

 大学生では、篠木健太郎(法政大)と佐々木泰(青山学院大)の名前が上位候補に挙がる。ともに下級生の頃から活躍しながら、少し調子の波があるのは懸念だが、能力の高さは誰もが認めるところだ。いきなりの入札はなくても、外れ1位や2位の早い段階で名前を呼ばれる可能性は高い。

 全体的に見ると高校生と大学生の投手が多く、逆に野手や社会人は全体的に数が少ない印象を受ける。特に金丸、中村以外で1年目から一軍の戦力となりそうな投手はなかなかおらず、また野手もスラッガータイプの強打者は少ない。

 そうなると即戦力投手としては伊原陵人(NTT西日本)、強打者タイプの野手では宇野真仁朗(早稲田実)、モイセエフ・ニキータ(豊川高)などの評価が相対的に上がってくることも考えられる。特に野手は候補が少ないだけに、早めに高い順位で確保して、投手を下の順位で狙うという戦略をとる球団も出てくるはずだ。ドラフト当日は、そういった各球団の駆け引きにもぜひ注目してもらいたい。


文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。