予想もしない愚行の波紋が止まらない。
　
　現地10月29日、ロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースとのMLBワールドシリーズ（WS）第４戦がヤンキー・スタジアムで行なわれ、３連敗のヤンキースが11対４でドジャースを撃破。対戦成績を１勝３敗とし、瀬戸際で踏みとどまった。ところがこの試合、序盤にヤンキースファンが起こしたトラブルへの非難がなおも続いている。

　試合は初回、１死二塁でフレディ・フリーマンが４戦連発となる２ランを放ち、ドジャースが２点を先制した。またしても劣勢の展開となってしまったヤンキース。その裏、本拠地ファンの暴挙が起きた。

　先頭打者のグレイバー・トーレスがドジャース先発ベン・カスパーリウズの２球目を打った打球が右翼ファウルゾーンへ飛球する。この打球を追ったドジャース右翼ムーキー・ベッツがフェンスに激突しながらジャンピングキャッチして見事に捕球したのだが、なんとヤンキースファンとみられる男性２人が協力してベッツのグラブを掴み、中からボールを奪い取って捨てるという信じられない行動に出たのだ。ちなみに該当映像は米放送局『Fox Sports』にバッチリ捉えられ、現地実況も唖然として状況を説明した。

　この行為には普段温厚なベッツも激高し、一連の動きを目撃していた塁審によってトーレスの記録は右邪飛に。１死走者なしでプレーは再開されたが、スタジアムには不穏な空気が流れた。無論、そのあと２人のヤンキースファンは言語道断と言わんばかりに警備員に囲まれ、スタジアムから連れ出されてしまった。
  　試合はヤンキース打線が爆発して大勝したものの、ファンによる醜悪な妨害行為への批判はなおも沸騰している。MLSやNFLなどフットボール情報を中心に配信しているスポーツ専門メディア『MLFootball』も、この愚行には苦言を呈している。公式SNSに「これまでMLBファンが引き起こしたことの中で、最も哀れなことのひとつだ」と断罪。「ムーキー・ベッツは、この２人のヤンキーファンの顔を殴る権利がある」と過激な文面を付け足した。

　さらにファンが退場した瞬間の動画を共有したうえで、「ムーキー・ベッツのグラブからボールを抜き取った２人のヤンキースファンは、この試合を観戦するためにそれぞれ数千ドルの高額料金を支払ったにもかかわらず、球場から退場させられた。この２人は二度とMLBの試合には行けないかもしれない。いや、行かせないでほしい」と怒りが収まらなかった。

　なお、米スポーツ専門局『ESPN』によると、当該行為のファン２人はヤンキー・スタジアムから退場させられあと、「水曜日（現地30日）の第５戦に戻ってきてもいいと言われた」と語っているが、同局の取材に対しヤンキース側は正式な回答はしなかったという。

　一部ファンが起こした蛮行は、ワールドチャンピオンを決める最高の舞台に著しく水を差す行為となった。

構成●THE DIGEST編集部 

「正気の沙汰ではない！」ベッツの腕を掴む愚行、ド軍メディア＆米アナリストが大激怒！ 「ヤンキースのファンによる非常識な行動だ」