侍ジャパン

侍ジャパン、史上初の連覇ならず。4安打完封負けで台湾がプレミア12初優勝

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.11.24

5回に2本のHRが飛び出した台湾がプレミア12初制覇した。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

 若き侍が最後の最後に力尽きた...。

 野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は11月24日、東京ドームで決勝戦を行ない、日本が台湾に0対4で完封負けを喫し、大会史上初の連覇はならず。国際大会の連勝記録も「27」でストップした。

 今大会3度目の顔合わせとなった両チーム。野球熱の高いアジア同士の戦いとなった一戦はチケットが即完売し、超満員4万1827人が集結した。

 序盤は両チームの先発が躍動する。日本は巨人のエース戸郷翔征が登板。立ち上がりに二塁打を打たれてランナーを背負うが、4番リン・アンクアをフォークで空振り三振。3回は2死一、三塁のピンチを背負うが、3番チェン・ジェシェンをスライダーで遊ゴロに仕留めた。

 一方の台湾は前日の日本戦に先発予定だった左腕のリン・ユーミンが満を持して登場。MLBアリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下の3Aに所属する21歳は両腕にびっしり彫られたタトゥーを露わにしながら力強い直球、スライダー、ツーシーム、チェンジアップなどを投じて侍打線を翻弄。バックの好守備も左腕を援護し、4回まで1安打に抑える。

 試合が動いたのは5回表。この回、先頭のリン・ジャーチェンが真ん中付近に来たストレートを見逃すことなく振り抜き、右中間スタンドに運ぶ先制ソロホームラン。三塁側の内野席を埋め尽くす台湾ファンから割れんばかりの大歓声が上がった。なおも1死一、二塁の好機を広げた台湾はチェン・ジェシェンがカウント3-1から2球ファウルで粘った後の7球目、150キロの直球を一閃。右翼スタンドにぶち込む3ランで台湾がこの回一挙4得点。台湾ファンのボルテージは最高潮に達し、2本のアーチを被弾した戸郷は95球を投げきり7安打4失点で降板した。

 大きな先制点を奪った台湾は直後の5回裏に好投のリン・ユーミンから、今大会4試合で4安打9奪三振、防御率0.00のパーフェクト投球を続けるジャン・イーを起用。絶好調の右腕は侍打線にも臆することなく圧巻のピッチングで押し、3イニングをノーヒットに抑える。
 
 7回には台湾にあわやダメ押し3ランかという大飛球があったが、わずかにファウルになり、日本が追加点を免れる場面もあったが、会場の雰囲気は完全に台湾ペースに包まれた。

 なんとか突破口を掴みたい日本だったが8回も三者凡退。残す9回も台湾の投手陣に封じ込まれ、わずか4安打でゲームセット。試合終了の瞬間、東京ドームに詰めかけた台湾ファンの絶叫のような大歓声が包まれた。

 大会通算8勝1敗という圧倒的な成績を残しながら、結果的に世界一の座にはあと一歩届かなかった。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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