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「だからショウヘイと私は黙っていた」大谷翔平の代理人が昨オフの争奪戦を回顧「彼ほどの無私無欲のアスリートは今後二度と出てこない」

THE DIGEST編集部

2024.12.07

大谷はMLB史上初の50ー50を成し遂げ、ドジャースはワールドシリーズを制覇。両者はこれからも頂点だけを目指していく。(C)Getty Images

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平をはじめ、ネズ・バレロ代理人、ドジャースのスタン・カステン社長兼CEO、ロン・ローゼン副社長兼マーケティング最高責任者が、米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者による独占インタビューを受けた。

 今オフのストーブリーグでは、ニューヨーク・ヤンキースからFAになったフアン・ソトの争奪戦が注目を集めており、総額は10年以上で7億ドル(約1050億円)を超えるとも報じられている。7億ドルの数字は、昨オフに大谷がドジャースと結んだプロスポーツ史上最高額だ。

 ソトの去就に関しては、さまざまな球団が候補に挙がり、真偽は定かではないがボストン・レッドソックスが6億6000万ドル(約993億円)のオファーを送ったとも言われ、あるメディアはニューヨーク・ヤンキースだ、別のメディアはニューヨーク・メッツが優勢だ、さらにはトロント・ブルージェイズが契約に近づいているというような報道を前に、スコット・ボラス代理人がすべての報道を激しく否定する声明を出した。

 そんななか、バレロ代理人が昨オフに巻き起こった大谷を巡る争奪戦を回顧。多くのメディアがあれこれ報じるソトの移籍報道に触れながら、「だからショウヘイと私は黙っていた。憶測の話はしたくなかったし、交渉が表に出るのも嫌だった。私たちが行なっていたさまざまな球団との話し合いを邪魔されたくなかった」と語った。

「憶測や噂が、私たちの臨んでいる結果に影響が及ばないようにしたかった。単純な話で、ビジネスを進めるための健全な方法だ。最終的に、ストーリーをコントロールして、結果もコントロールしたかった」

 バレロ代理人は2023年12月9日、土曜日の朝にドジャースのアンドリュー・フリードマン編成総責任者に電話をかけ、大谷がドジャースを選んだと伝えた。その時、フリードマンは大谷が6年間プレーしたロサンゼルス・エンジェルスの本拠地があるアナハイムで、息子のサッカーの試合を観戦していた。フリードマンは間もなく大谷が自身のSNSでドジャースとの契約を発表すると告げられた。フリードマンはすぐにドジャースのスタン・カステン社長兼CEOに電話をかけて報告。その数分後、大谷はSNSで自身の決断を世界に発表した。

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 カステン社長兼CEOも当時を振り返った。「ネズはすべての段階において、完璧なまでに正直だった。話を取り繕う理由もなかったからね。ネズは交渉を好きなように進めることができた。トロント行きの飛行機にショウヘイを乗せていたとしても、私にはそう伝えてくれたはずだ。すべてにおいてネズはプロフェッショナルだった。"静かに終わらせたい。大騒ぎにしたくない"とも言っていた。双方がプロフェッショナルで、敬意があり、それは静かなものだった」。

 そんなカステン社長兼CEOが耳を疑った契約内容があった。総額7億ドルのうち、6億8000万ドルを無利息で後払いとする大谷が発案したアイデアだった。「アンドリューから初めてそれを聞いた時のことを覚えている。私は、もう一度言ってくれないか? と聞き返した。それが私の正直の反応だった」。この後払い契約によって、ドジャースのぜいたく税負担額が7000万ドルから4600万ドルに減額。節約分で別の選手を補強できるメリットを球団は手にすることができた。

 バレロ代理人も話に加わった。

「ショウヘイほど犠牲を払うような無私無欲のアスリートは、今後二度と出てこないと思う。あのレベルで活躍できる選手が、こうした契約をすること自体、業界にとって前例のない大きな衝撃だった。ショウヘイにとって、自身の契約がチームの足かせにならないことが重要だった。ショウヘイはただ、"年俸の全部、もしくは一部を後払いにしたらどうなるのか? 私の金銭的問題はない"と言っただけだった」

「ショウヘイにとって、ドジャースが毎年のように競争力を持ち、優勝できるレベルのチームを編成することが重要だった。それが彼のドジャースでの究極の目標だった。ショウヘイにはビジョンがあり、そしてそのビジョンはすべて実現した」

 24年のワールドシリーズ制覇は、大谷とドジャースが目論んだ通りの結果だった。

構成●THE DIGEST編集部

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