プロ野球

【キャンプの見どころ】オリックスのクローザーは、ディクソンか、増井か、それとも…

氏原英明

2020.01.26

増井(写真)の復活はもちろん、漆原の台頭も期待される。写真:日刊スポーツ/朝日新聞社

  プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント(FA)による移籍やルーキー、新外国人など新加入選手によってチーム編成は新しくなったが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見所を探った。

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 春季キャンプでのオリックスのテーマはクローザー探しだ。

 先発投手陣は山岡泰輔、山本由伸のWエースの存在が際立ち、枚数もそれなりに整ってきたが、最後を誰にするかは検討の余地を残している。

 昨季途中までは増井浩俊が務めたが、不調からディクソンに交代した。ディクソンは役目を果たしていると言えるものの、増井がこのまま黙っているはずはない。加えて、育成枠ながら、昨季イースタン・リーグでセーブ王となった漆原大晟が期待の星として注目されている。実績なら前の二人が圧倒的にリードしているが、漆原が一気に評価を高めることになれば、楽しみも増えるはずだ。

 一方、先発投手陣は、山岡、山本の後の3人目以降にも、Wエースに次ぐ昨季19試合先発のK-鈴木、18年に9勝を挙げているアルバース、育成から上がってきた榊原翼、張奕、2年目の荒西祐大、田嶋大樹など、列挙できる名前は多い。

 ただ、だからと言って、「投手王国」とは呼ぶにはまだ早い。真の意味で枚数が整うかは、このキャンプの出来次第だ。
 
 打線はメジャー通算282発のアダム・ジョーンズを獲得し、一気に注目が集まったが、ひと言で言えば、吉田正尚の相棒ができたに過ぎない。そもそも、吉田正と他の選手との差が大きすぎることがチームの問題点だ。

 リードオフマンをどう確立していくかが、このキャンプの最大のテーマだろう。

 昨季は、1、2番ともチーム最多出場が福田周平だ。福田は打率が.250、出塁率は.342という数字。若い世代では、昨季の開幕2番に抜擢された西浦、宗佑磨、交流戦の首位打者・中川圭太らが候補になってくる。吉田&A・ジョーンズの前をにぎわす1、2番をどう形成するのか、答を見つけ出したい。

 一方、大物外国人や若い世代の台頭で、めっきり存在感が薄くなった選手たちの逆襲も期待したいところ。32歳にして、プエルトリコのウインターリーグに参加したT岡田と外野の守備職人、後藤駿太だ。

 彼らの守るポジションは、基本的に助っ人で埋まっている。A・ジョーンズが右翼、ロドリゲスが一塁、モヤが指名打者だ。ただ、A・ジョーンズはともかく、ロドリゲスやモヤが期待値以下だったときには、T岡田や後藤にもチャンスが巡ってくるだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。