プロ野球

【キャンプの見どころ】ロッテのゴールデンルーキー佐々木朗は1軍スタート。吉井コーチの手腕は?

氏原英明

2020.01.27

早くも1軍のキャンプメンバーとなった佐々木朗。吉井コーチに預けるのが狙い。写真:THE DIGEST写真部

 プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント(FA)による移籍やルーキー、新外国人など新加入選手によってチーム編成は新しくなったが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見所を探った。

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 ロッテのゴールデンルーキの佐々木朗希が1軍キャンプメンバー入りとなった。

 メジャーの経験を生かした投手マネジメント、育成手腕もある吉井理人ピッチングコーチに預けるのが狙いだろう。どんなアドバイスを送り、育ててくのかが最大の焦点だ。もちろん、吉井コーチが高卒ルーキーに無理を強いることはないという想像はつくので、キャンプが始まってから、その手腕が発揮されるはずだ。注目したい。

 一方、1軍のピッチングスタッフは投手王国が完成間近と言っていい。

 楽天から美馬学を獲得して、涌井秀章を放出したロッテだが、先発のローテーションは、美馬学、石川歩、二木康太、種市篤暉までは決まり。キャンプでは、この中で誰が開幕投手になるのかということと、ローテーション5、6枠の争いが繰り広げられる。

 開幕カードがソフトバンクであることを考えると、昨季の美馬が対SBの防御率で1.97と得意としているだけに一歩リードしているが、ソフトバンクから4勝の二木も諦めていないはずだ。

 5、6枠目争いに関しては、昨季の様子を見ると西野勇士、若手期待の岩下大輝、佐々木千隼が軸になっていくが、サウスポーがいないのが気がかりなところ。小島和哉、土肥星也、中村稔弥あたりがどこまで迫っていけるかになるだろう。

 リリーフ陣も枚数が揃っている。
 クローザーを益田直也が務め、他球団で実績のあるハマン、ジャクソンを獲得した。昨季、活躍した東條大樹、アマチュアの頃からリリーフ適性のある東妻勇輔がいる。こちらも、サウスポーが松永昂大しかいないため、先発から回ってきた投手やチェン、侍ジャパンの経験がある成田翔などに期待したい。
 
 打線の方はソフトバンクから福田秀平を獲得。2年目になる藤原恭大がもう少し時間がかかると見ての獲得だろう。つなぎ役として期待がかかるが、ソフトバンクではスーパーサブだった福田がどれほどの活躍を見せるか注目だ。優勝を知る人材として、チームに「王者のスピリット」を注入できれば願ったり叶ったりだ。

 今キャンプの注目で言うと、昨季、イースタンで2冠に輝いた安田尚憲がレギュラーを奪取するかどうかだろう。ライバルはホームランバッターのレアードだが、安田が奪うことができるか見ものだ。このオフはプエルトリコのウインターリーグ にも参加。充実した日々を過ごしてきている。

 遊撃手争いも熾烈だ。
 守備の安定感から藤岡裕大が頭一つ抜け出しているが、2015年ドラ1の平沢大河、ルーキーの福田洸希との争いになる。バッティングでは平沢に分がありそうだが、平沢とは同学年の福田の加入で、一気に活気付くだろう。

 福田は、高校3年での実績ではそう知られていないが、高校1年で甲子園に出場、2年夏には全国制覇を経験している。平沢より先に知られた存在だったが、その後にバッティングが低迷する。ドラフト時には、大学からの再出発を目指しており、今季、ようやく平沢と同じ舞台に並んだ。ちなみに福田は1軍、平沢は2軍でスタートする。

 昨季終盤、藤岡はバッティング面でも向上を見せている。9月には月間353の高打率をマークするなど、遊撃手のポジションを死守するための成長を予感させる。ロッテの遊撃手は藤岡が守るのか、その牙城をライバル心を剥き出しにした二人が肉薄するのか、注目していきたい。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。