中嶋氏の役割は、外国人選手を中心とした編成面での助言・サポートだ。監督時代とは異なる視点から見聞を広め、その知見をもとに球団を支える役割を担っていく。
2021~23年にチームをリーグ3連覇に導いた名将は、昨年「慣れ」によりチームが5位に陥った責任を取って公式戦終了後に電撃辞任。ファンからは退陣を惜しむ声が多数出ていた。球団は功労者に対して早い段階から要職での再登用に向けて働きかけていたものの、中嶋氏は「選手には責任はこちらにあるから思い切ってやってくれと言っていました。それを考えれば3連覇していたチームがここまで落ちるということに関しての責任はしっかりと取りたいと思います。球団には、強く引き止めていただいたのですけれど、何かが足りない中で、新しいことを始めるときには新しい人がやるべきだと思います。良い思いもさせてもらいましたし、悔しい思いも辛い思いもしましたけれど、それをこのメンバーで共有できたということを感謝しています。楽しかったですね。ありがとうございました」と辞任への思いを語っていた。
福良淳一GMは「中嶋監督より辞意の申し出を受け、球団としては幾度も対話を重ね慰留に努めましたが、本人の意思は固く、今季限りでの退任となりました。とても残念な気持ちであることは当然ですが、同時に、25 年ぶりにチームをリーグ優勝に導き、その後、日本一とリーグ三連覇を達成したその手腕には、心からの感謝と最大限の賛辞を贈りたいと思います。中嶋監督とともに積み上げたチームの進化の歩みは球団にとって大切な財産であり、さらに強いチームを作り上げることがわれわれの使命であると考えています」と中嶋氏の辞意を悔やんでおり、湊通夫球団社長も「相応しいポストを用意したい」と球団残留を希望していた。
そんな中、昨年11月に開催したファンフェスタに「自らの言葉で挨拶がしたい」とファンの前にサプライズ登場した中嶋氏。「みなさん御存じのように24年シーズンをもって辞任することになりました。ビジターの仙台で発表し、何とかみなさんの前で話したいと思っていました」と改めてファンに報告。
続けて「6年間やりましたけど、3連覇というこの数字。ホントに球団職員のみなさま、いろんな選手みんなの力だと思ってます。この場を借りてありがとうという言葉を伝えたいと思います。今季は悔しい思いをしました。またゼロからのスタート。今年の負の部分、悪い部分、できなかった部分は、すべて私とT-岡田が持って出ていくので、選手のみなさん来年思いきり暴れちゃってください。僕は球界のためというか、野球が好き。これからまだまだ勉強して充電して、ウズウズしてきたら何かやりたい。その時にまた会いましょう」といつかの再会を約束していたが、岸田護新監督をバックアップすべく、引き続きチームに関わることになった。
「海外も含め、私自身の見聞を広げるためのサポートもしていただけるということですので、喜んでお引き受けさせていただきました」と語った中嶋新SA。日本ハム時代にコーチ留学したパドレスをはじめ、マイナーリーグをコーチとして巡回した経験があり、オリックス監督時代もこの時にブルペンで球を受けたピッチャーと再会するなど外国人投手陣からの人望も厚い。チームのウィークポイントを誰よりも分かっているだけに、SAとしての手腕にも期待したい。
文⚫︎THE DIGEST取材班
写真⚫︎野口航志