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大谷翔平×今永昇太、山本由伸×鈴木誠也の「開幕戦日本人対決」勝負を分けるポイントは一体どこにあるのか<SLUGGER>

藤原彬

2025.03.18

東京開幕シリーズ初戦、4人の日本人選手の躍動が期待される。(C)Getty Images

 いよいよ3月18日、東京ドームでのカブス対ドジャースで新シーズンが幕を開ける。先発マウンドへ上がる今永昇太と山本由伸はそれぞれ、日本人対決として注目される大谷翔平と鈴木誠也をどのように抑えようとするだろうか。

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■今永の大胆細心と大谷の成長が生む「世界最高峰」

 昨年メジャー挑戦を果たした今永は、大谷と5打席対戦して無安打に封じた。計18球のうちほとんどが内外角コーナーへ投じられ、最大級の警戒がうかがえる。対して、昨季の大谷がコース別でダントツの19本塁打も記録した真ん中への投球は1球のみ。打球初速110マイルの強烈な打球を一塁線へ打たれたが、ファーストが捕球して併殺打に仕留めた。このような強い打球を防ぐための配球は、今回の対戦に限らず今永にとって前提条件になる。

 球種の選択にも注目したい。初対戦の昨年4月7日(2打席)は、11球のうち8球が代名詞の高回転4シームだった。かと思えば、次の9月10日(3打席)は7球のうち5球がスイーパー。ちなみに、昨季の今永はスイーパーの投球割合が7.7%のみだったから、やはり対大谷は特別な対策が必要ということか。フライ系の今永にとって本塁打の出やすい東京ドームは危険で、まだ2球しか見せていない決め球スプリッターの使いどころも考えているのではないか。

 昨季の対戦では翻弄された大谷だが、近年は速球系に滅法強さを発揮したまま、曲がる変化球への対応を向上させている。2ストライク後の粘り強さも増し、隙が少なくなった。そうした成長を実感できる相手として、今永は格好の対戦相手かもしれない。もちろん、最も期待されるのは豪快なホームランだが、両者の勝負では結果にかかわらず、確実にメジャートップクラスの駆け引きが堪能できるはずだ。
■昨季は5打数0安打の山本に鈴木は逆襲できるか

 海を渡ったばかりの山本も、昨季は鈴木と5度対戦して無安打、3三振を奪った。NPB時代の2021年には7回まで続けたパーフェクトを阻まれる試合もあったが、そのリベンジを果たしている。特筆すべきは、ボール球の見極めに優れた鈴木に対し、5つの空振りをすべてストライクゾーン外の球で奪っている点だ。持ち前の速くて強いボールで圧倒するスタイルは、メジャーでも変わらない。カブスはメジャー初勝利を挙げた相手であり、2先発とも8奪三振と印象は悪くないはずだ。

 山本が気をつけなくてはいけないのは最初の入りだ。昨季は初球で被打率.421、被本塁打6本(シーズン7被弾のほとんど)と打ち込まれていた。対する鈴木は選球眼が良く、あらゆる球種に対応できるため、本来は相手投手に球数を多く投げさせるタイプ。だが、山本の主武器はすでに確認済みということもあり、昨季の雪辱を果たすには打てるボールをじっくり吟味するより、早めの仕掛けが功を奏する打席もあるかもしれない。

 2チームの対戦は東京開幕シリーズ跡の4月にも対戦が組まれ、秋のプレーオフでも再会する可能性がある。キーマンになり得る日本人同士の対決は、先の戦いへ向けた試金石でもある。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

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