新人合同自主トレが終わり、ルーキーたちもいよいよ初めてのキャンプを迎える。
ヤクルトでは、右肘の軽い炎症のためノースロー調整を行ってきたドラフト1位の奥川恭伸投手をはじめ、5位の長岡秀樹内野手、6位の武岡龍世内野手の高校生3人が2軍キャンプ、2位の吉田大喜投手、3位の杉山晃基投手、4位の大西広樹投手の大学生3人が1軍キャンプに振り分けられた。
1軍メンバーの中でも、開幕ローテーション入りの可能性が一番高いルーキーと言われているのが、吉田大喜だ。
吉田は、安定感のある綺麗なフォームから最速152km/hのストレートとカーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットなどの変化球を繰り出す本格派右腕。得意としている球は、スプリットだ。日本体育大時代は、1年秋から首都大学野球リーグ戦に登板。1学年上の松本航(西武)、東妻勇輔(ロッテ)が卒業した4年春からは、北山比呂(東芝入社予定)との2枚看板でチームを引っ張った。
4年時には大学日本代表にも選出され、国際試合を経験したことで大きく成長を遂げた。
「アメリカ代表にストレートが通用したことで、自信がつきました。日本代表のメンバーも、変化球が一級品の選手ばかりでした。今までは、たとえばスライダーなら大きく曲げることにこだわっていたけど、みんなの球を見てからはいかにまっすぐと同じ軌道で投げるかという考えに変わりました。途中までまっすぐに見える軌道で投げられれば、ちょっと曲げるだけで打たれないので」
欠点という欠点が見当たらない吉田だが、あえて懸念材料を挙げるとすればスタミナ面だろうか。松本・東妻という絶対的な存在がいたことで、4年生になるまで長いイニングを投げる機会がほぼなく、完投能力があるか、エースとしてシーズンを投げ切れるかは未知数だった。
4年秋のリーグ戦では2完投(1完封)とまずまずの結果。試合終盤になると疲れを感じ「上半身が突っ込んでしまうこと」「投げ急いでしまうこと」を反省点として挙げていたが、吉田のことなので今後はその課題もクリアしていくだろう。
大学時代から大切にしているというキャッチボールは、新人合同自主トレでも丁寧に行っていた。
「1球1球フォームを確認しながら投げています。(軸足で)立ったときのバランス、投げるときのバランス、投げ終わったときの一本足のバランス、と特にバランスに気をつけています」と、ゆっくり確認しながら投げる球のほとんどは、キャッチボール相手の杉山のグローブにきれいに収まっていた。
また、体重が2kg、筋肉量は1kg増えたと言い、体づくりも順調のようだ。
LINEの「つば九郎きせかえ」をプレゼントしてくれたという日体大の古城隆利監督も、吉田の自主トレ情報などをチェックして連絡をくれるそうだ。「ランニング遅いぞ、とか連絡が来ます」と話す吉田のはにかんだような笑顔は、大学時代とはまた違う初々しさを感じさせた。
新人合同自主トレを終え、プロ野球選手としての本番はこれからだ。まずは、春季キャンプでどれだけの成長を見せるかに注目したい。
文●山本祐香(タレント・スポーツライター)
【著者プロフィール】
やまもと・ゆうか/タレント活動をする傍ら、愛して止まない野球の"現場の声"を自ら届けるため、2015年よりライターとしても活動。主に日本のアマチュア野球を取材し、『スポチュニティ』などウェブ媒体を中心に執筆している。
ヤクルトでは、右肘の軽い炎症のためノースロー調整を行ってきたドラフト1位の奥川恭伸投手をはじめ、5位の長岡秀樹内野手、6位の武岡龍世内野手の高校生3人が2軍キャンプ、2位の吉田大喜投手、3位の杉山晃基投手、4位の大西広樹投手の大学生3人が1軍キャンプに振り分けられた。
1軍メンバーの中でも、開幕ローテーション入りの可能性が一番高いルーキーと言われているのが、吉田大喜だ。
吉田は、安定感のある綺麗なフォームから最速152km/hのストレートとカーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットなどの変化球を繰り出す本格派右腕。得意としている球は、スプリットだ。日本体育大時代は、1年秋から首都大学野球リーグ戦に登板。1学年上の松本航(西武)、東妻勇輔(ロッテ)が卒業した4年春からは、北山比呂(東芝入社予定)との2枚看板でチームを引っ張った。
4年時には大学日本代表にも選出され、国際試合を経験したことで大きく成長を遂げた。
「アメリカ代表にストレートが通用したことで、自信がつきました。日本代表のメンバーも、変化球が一級品の選手ばかりでした。今までは、たとえばスライダーなら大きく曲げることにこだわっていたけど、みんなの球を見てからはいかにまっすぐと同じ軌道で投げるかという考えに変わりました。途中までまっすぐに見える軌道で投げられれば、ちょっと曲げるだけで打たれないので」
欠点という欠点が見当たらない吉田だが、あえて懸念材料を挙げるとすればスタミナ面だろうか。松本・東妻という絶対的な存在がいたことで、4年生になるまで長いイニングを投げる機会がほぼなく、完投能力があるか、エースとしてシーズンを投げ切れるかは未知数だった。
4年秋のリーグ戦では2完投(1完封)とまずまずの結果。試合終盤になると疲れを感じ「上半身が突っ込んでしまうこと」「投げ急いでしまうこと」を反省点として挙げていたが、吉田のことなので今後はその課題もクリアしていくだろう。
大学時代から大切にしているというキャッチボールは、新人合同自主トレでも丁寧に行っていた。
「1球1球フォームを確認しながら投げています。(軸足で)立ったときのバランス、投げるときのバランス、投げ終わったときの一本足のバランス、と特にバランスに気をつけています」と、ゆっくり確認しながら投げる球のほとんどは、キャッチボール相手の杉山のグローブにきれいに収まっていた。
また、体重が2kg、筋肉量は1kg増えたと言い、体づくりも順調のようだ。
LINEの「つば九郎きせかえ」をプレゼントしてくれたという日体大の古城隆利監督も、吉田の自主トレ情報などをチェックして連絡をくれるそうだ。「ランニング遅いぞ、とか連絡が来ます」と話す吉田のはにかんだような笑顔は、大学時代とはまた違う初々しさを感じさせた。
新人合同自主トレを終え、プロ野球選手としての本番はこれからだ。まずは、春季キャンプでどれだけの成長を見せるかに注目したい。
文●山本祐香(タレント・スポーツライター)
【著者プロフィール】
やまもと・ゆうか/タレント活動をする傍ら、愛して止まない野球の"現場の声"を自ら届けるため、2015年よりライターとしても活動。主に日本のアマチュア野球を取材し、『スポチュニティ』などウェブ媒体を中心に執筆している。