プロ野球もいよいよ開幕したが、アマチュア野球も4月に入り本格的に公式戦がスタート。ドラフト戦線も活発に動き出す時期となった。今シーズンの戦いぶりで補強ポイントはこれから変わってくるはずだが、現時点で各球団が狙うべき選手は一体誰なのか。パ・リーグ6球団から一人ずつ「おすすめ選手」を選んでみよう。
▼ソフトバンク
小島大河(捕手│明治大)
昨季は圧倒的な強さを発揮してリーグ制覇。ドラフトでは宗山塁(明治大→楽天)を外して方針転換し、高校生投手の村上泰斗(神戸弘陵高)を1位で指名したが、2位では庄子雄大(神奈川大)も獲得して二遊間の補強には成功している。一方でやはり気になるのが甲斐拓也の抜けた捕手だ。ここまでは海野隆司と谷川原健太の併用となっているが、やはり太い正捕手候補が欲しいことは間違いない。
そこで名前が挙がるのが小島大河(明治大)だ。東海大相模では3年春にセンバツで優勝。明治大でも2年春から正捕手となり、昨年は大学日本代表でも活躍している。昨年秋までのリーグ戦通算打率は.337を誇り、素早いスローイングとフットワークも持ち味だ。また思い切って高校生を狙うなら、今月行われたU-18侍ジャパン候補合宿で圧倒的なパフォーマンスを見せた大栄利哉(学法石川高)も候補になってくるだろう。
▼日本ハム
松川玲央(内野手│城西大)
昨年は2位に躍進し、今年は優勝候補の声も多い日本ハム。昨年のドラフトでは育成まで含めた8人中7人が投手だったこともあって、今年はまず野手を狙うというのが既定路線となりそうだ。外野とファースト、サードは充実している一方で、二遊間は少し手薄な印象を受ける。
そこで狙いたいのが松川玲央(城西大)だ。183㎝の大型ショートでありながら抜群のスピードがあるというのが得難い長所で、大学時代の京田陽太(DeNA)と比べてもあらゆる点で上回っているように見える。なかなかショートが固定できなかった課題を解決できる可能性を秘めた選手と言えそうだ。
▼ロッテ
山城京平(投手│亜細亜大)
昨年オフに佐々木朗希(ドジャース)、メルセデス(台湾・統一)という2人の先発投手が抜けたロッテ。ドラフトでも上位2人が野手で、指名した投手もリリーフタイプが多かっただけに、今年は先発候補となる投手をまず狙いたい。特に左腕は小島和哉に次ぐ投手が手薄なだけに補強ポイントとなるが、
そこで候補となるのが山城京平(亜細亜大)だ。174㎝と決して投手としては小柄な部類だが、常時150キロ前後をマークする出力の高さは大学球界でもトップクラス。課題だった制球面も成長が見られる。同じ大学生左腕では渡邉一生(仙台大)も少し調子の波はあるものの、スピードと抜群のブレーキがあるチェンジアップが大きな武器なだけに面白い存在となりそうだ。
▼楽天
立石正広(内野手│創価大)
昨年のドラフトでは5球団の競合を制して目玉の宗山塁(明治大)を引き当てた楽天。ショートはこれでしばらく安泰となりそうだが、次に大きな課題となるのがポスト浅村栄斗となれる存在だ。昨年も二桁本塁打は浅村だけで、次の9本塁打もベテランの阿部寿樹であり、若手も候補が少ないだけに強打者タイプを積極的に狙いたい。
そうなると、やはり立石正広(創価大)の名前が真っ先に挙がる。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿では、フリー打撃で広い坊ちゃんスタジアムの場外に運ぶなどその長打力は圧倒的なものがある。立石と宗山が三遊間を組むことになれば、チームの将来像は一気に明るくなるだろう。
▼オリックス
森陽樹(投手│大阪桐蔭)
昨年は5位に沈んだものの、今年は開幕から好調な戦いぶりを見せている。野手は若手にも楽しみな選手は多いものの、投手はベテランと外国人選手への依存度が高く、故障者も多いこともあって補強の必要性が高いように感じる。高校生では石垣元気(健大高崎)の評価が高いが、もう1人名前を挙げたいのが森陽樹(大阪桐蔭)だ。
中学時代から軟式で140キロ以上のスピードボールを投げて注目されていた大型右腕で、大阪桐蔭でも1年秋から投手陣の一角として活躍。昨年秋は近畿大会の初戦で敗れてセンバツ出場は逃したが、そのスケールの大きさは世代でも屈指だ。オリックスはこれまでも長身の投手を上手く育成してきた実績があるだけに、そういう意味でもマッチしていると言えそうだ。
▼西武
立石正広(内野手│創価大)
昨年は歴史的な低迷で圧倒的な最下位に沈んだ。得点力不足は深刻で、昨年のドラフトでも上位2人で野手を指名しており、2位の渡部聖弥(大阪商業大)は開幕から期待通りの活躍を見せているが、まだまだ補強は十分とは言えないだけに、今年も野手を優先して狙いたい。
そうなると、やはり楽天でも名前を挙げた立石正広(創価大)が候補となる。今年からはセカンドも守っているが、ハンドリング、スローイングも安定しており、プロでも十分守れる可能性は高い。西武は今年、外崎修汰がサードにコンバートとなり、セカンドが固定できていないだけに、補強ポイント的にもマッチしている。他ではセカンドで打力のある繁永晟(中央大)や宮下朝陽(東洋大)も今年の活躍次第では候補になってくるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
▼ソフトバンク
小島大河(捕手│明治大)
昨季は圧倒的な強さを発揮してリーグ制覇。ドラフトでは宗山塁(明治大→楽天)を外して方針転換し、高校生投手の村上泰斗(神戸弘陵高)を1位で指名したが、2位では庄子雄大(神奈川大)も獲得して二遊間の補強には成功している。一方でやはり気になるのが甲斐拓也の抜けた捕手だ。ここまでは海野隆司と谷川原健太の併用となっているが、やはり太い正捕手候補が欲しいことは間違いない。
そこで名前が挙がるのが小島大河(明治大)だ。東海大相模では3年春にセンバツで優勝。明治大でも2年春から正捕手となり、昨年は大学日本代表でも活躍している。昨年秋までのリーグ戦通算打率は.337を誇り、素早いスローイングとフットワークも持ち味だ。また思い切って高校生を狙うなら、今月行われたU-18侍ジャパン候補合宿で圧倒的なパフォーマンスを見せた大栄利哉(学法石川高)も候補になってくるだろう。
▼日本ハム
松川玲央(内野手│城西大)
昨年は2位に躍進し、今年は優勝候補の声も多い日本ハム。昨年のドラフトでは育成まで含めた8人中7人が投手だったこともあって、今年はまず野手を狙うというのが既定路線となりそうだ。外野とファースト、サードは充実している一方で、二遊間は少し手薄な印象を受ける。
そこで狙いたいのが松川玲央(城西大)だ。183㎝の大型ショートでありながら抜群のスピードがあるというのが得難い長所で、大学時代の京田陽太(DeNA)と比べてもあらゆる点で上回っているように見える。なかなかショートが固定できなかった課題を解決できる可能性を秘めた選手と言えそうだ。
▼ロッテ
山城京平(投手│亜細亜大)
昨年オフに佐々木朗希(ドジャース)、メルセデス(台湾・統一)という2人の先発投手が抜けたロッテ。ドラフトでも上位2人が野手で、指名した投手もリリーフタイプが多かっただけに、今年は先発候補となる投手をまず狙いたい。特に左腕は小島和哉に次ぐ投手が手薄なだけに補強ポイントとなるが、
そこで候補となるのが山城京平(亜細亜大)だ。174㎝と決して投手としては小柄な部類だが、常時150キロ前後をマークする出力の高さは大学球界でもトップクラス。課題だった制球面も成長が見られる。同じ大学生左腕では渡邉一生(仙台大)も少し調子の波はあるものの、スピードと抜群のブレーキがあるチェンジアップが大きな武器なだけに面白い存在となりそうだ。
▼楽天
立石正広(内野手│創価大)
昨年のドラフトでは5球団の競合を制して目玉の宗山塁(明治大)を引き当てた楽天。ショートはこれでしばらく安泰となりそうだが、次に大きな課題となるのがポスト浅村栄斗となれる存在だ。昨年も二桁本塁打は浅村だけで、次の9本塁打もベテランの阿部寿樹であり、若手も候補が少ないだけに強打者タイプを積極的に狙いたい。
そうなると、やはり立石正広(創価大)の名前が真っ先に挙がる。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿では、フリー打撃で広い坊ちゃんスタジアムの場外に運ぶなどその長打力は圧倒的なものがある。立石と宗山が三遊間を組むことになれば、チームの将来像は一気に明るくなるだろう。
▼オリックス
森陽樹(投手│大阪桐蔭)
昨年は5位に沈んだものの、今年は開幕から好調な戦いぶりを見せている。野手は若手にも楽しみな選手は多いものの、投手はベテランと外国人選手への依存度が高く、故障者も多いこともあって補強の必要性が高いように感じる。高校生では石垣元気(健大高崎)の評価が高いが、もう1人名前を挙げたいのが森陽樹(大阪桐蔭)だ。
中学時代から軟式で140キロ以上のスピードボールを投げて注目されていた大型右腕で、大阪桐蔭でも1年秋から投手陣の一角として活躍。昨年秋は近畿大会の初戦で敗れてセンバツ出場は逃したが、そのスケールの大きさは世代でも屈指だ。オリックスはこれまでも長身の投手を上手く育成してきた実績があるだけに、そういう意味でもマッチしていると言えそうだ。
▼西武
立石正広(内野手│創価大)
昨年は歴史的な低迷で圧倒的な最下位に沈んだ。得点力不足は深刻で、昨年のドラフトでも上位2人で野手を指名しており、2位の渡部聖弥(大阪商業大)は開幕から期待通りの活躍を見せているが、まだまだ補強は十分とは言えないだけに、今年も野手を優先して狙いたい。
そうなると、やはり楽天でも名前を挙げた立石正広(創価大)が候補となる。今年からはセカンドも守っているが、ハンドリング、スローイングも安定しており、プロでも十分守れる可能性は高い。西武は今年、外崎修汰がサードにコンバートとなり、セカンドが固定できていないだけに、補強ポイント的にもマッチしている。他ではセカンドで打力のある繁永晟(中央大)や宮下朝陽(東洋大)も今年の活躍次第では候補になってくるだろう。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。