パイレーツのロバート・ナッティングと言えば、球界でも指折りの「ドケチ・オーナー」として知られる人物。チーム強化にはほとんど意欲を見せず、戦力均衡化のための収入分配金の大半を自らの懐に入れているとして、地元ファンから大きな批判を浴びていることでも知られる。
そんなナッティングの“悪名”をさらに高める事件が発生した。
きっかけは4月6日、あるファンのツイートだった。
「(本拠地PNCパークの)ライトフェンスのクレメンテ・ロゴがサーフサイド(アルコール会社)の広告に変わっている」
「クレメンテ」とは、もちろん往年の名選手ロベルト・クレメンテのことだ。1955~72年にパイレーツでプレーして首位打者に輝くこと4回、66年にはMVPを受賞し、オールスター選出は15回を誇るスーパースターだった。慈善活動にも非常に熱心で、72年12月31日、大地震に見舞われたニカラグアへ自ら救援物資を運ぼうとした際に飛行機事故で亡くなった。以来、メジャーリーグではその年、最も社会活動に貢献した選手に「ロベルト・クレメンテ賞」を授与している。 PNCパーク近くの橋は「ロベルト・クレメンテ橋」と名づけられ、2022年からは守備位置だったライトのフェンスにクレメンテの名前と、永久欠番にもなっている背番号「21」のロゴが飾られていた。
そのロゴが、何の告知もなくしれっとアルコール会社の広告に入れ替わっていたというのだから呆れて物も言えない。
クレメンテの遺族にとっても青天の霹靂だったようで、息子のジュニアは「家族には何の報告も相談もなかった」と激怒。「私たち家族やファンにとって極めて個人的かつ歴史的にも重要な事項についての有意義な連携が欠けている」と球団を批判した。
もちろん、ファンやメディアからも批判が殺到。球団は「ロベルト・クレメンテの偉業を軽視する意図はなかった」と謝罪し、クレメンテのロゴを戻した。
ホーム開幕戦では「Sell The Team, Bob(チームを売ってくれ、ボブ)」とのメッセージが書かれた飛行機がピッツバーグ上空を飛ぶなど、ファンからの怒りがヒートアップする中で起きた今回の事件。ピッツバーグ市民の信頼を回復するのはもう無理かもしれない。
構成●SLUGGER編集部
【記事】「昇太と僕が信じていることが同じなら良いことが起こる」今永昇太が敏腕ホットビー投手コーチと挙げたシーズン初白星の舞台裏<SLUGGER>
【記事】【玉木正之のベースボール今昔物語:第8回】「ホームランは常に野球の華だった」は誤り...今も根強い球界の“間違った常識”<SLUGGER>
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そのロゴが、何の告知もなくしれっとアルコール会社の広告に入れ替わっていたというのだから呆れて物も言えない。
クレメンテの遺族にとっても青天の霹靂だったようで、息子のジュニアは「家族には何の報告も相談もなかった」と激怒。「私たち家族やファンにとって極めて個人的かつ歴史的にも重要な事項についての有意義な連携が欠けている」と球団を批判した。
もちろん、ファンやメディアからも批判が殺到。球団は「ロベルト・クレメンテの偉業を軽視する意図はなかった」と謝罪し、クレメンテのロゴを戻した。
ホーム開幕戦では「Sell The Team, Bob(チームを売ってくれ、ボブ)」とのメッセージが書かれた飛行機がピッツバーグ上空を飛ぶなど、ファンからの怒りがヒートアップする中で起きた今回の事件。ピッツバーグ市民の信頼を回復するのはもう無理かもしれない。
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