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MLB

ロイヤルズ? ブルージェイズ? それとも...レッドソックスで居場所がなくなった吉田正尚に新たな安住の地は見つかるのか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2025.04.29

渡米3年目を迎えた吉田だが、開幕からIL入りしたままでまだマイナーでの出場もない。(C)Getty Images

渡米3年目を迎えた吉田だが、開幕からIL入りしたままでまだマイナーでの出場もない。(C)Getty Images

 吉田正尚(レッドソックス)が苦しい立場に追い込まれている。オープン戦ではDHとして出場していたが、球団は「守備ができるようになってから」と、昨オフに手術を受けた右肩のコンディションを理由にIL(故障者リスト)に置いたまま。4月28日(現地)時点でまだマイナーの試合にも出場していない。

 とはいえ、昨季と同じDHとして起用するなら現状でもメジャーに復帰できるはず。なぜそうしないのかと言えば、現状で吉田が割って入る余地がチームにはないからだ。

 このオフ、球界屈指の三塁手アレックス・ブレグマンがFAで加入。すったもんだを経て、昨季まで正三塁手を務めていたラファエル・デバースがDHに落ち着くことになった。さらに外野陣も昨年のオールスターでMVPに輝いたジャレン・デュランがレフト、ずば抜けた身体能力を誇るセダン・ラファエラがセンター、昨季ルーキーながらゴールドグラブに輝いたウィリアー・アブレイユがライトに固定されつつある。

 その上、マイナー最高のトップ・プロスペクトと評判の高いローマン・アンソニーが3Aで大爆発してメジャー昇格を今か今かと待ち構えている状況。端的に言って、吉田は余剰人員となってしまいつつある。

 そうなると、残る選択肢はトレードということになるが、それもまた難しい。吉田の契約は今季も含めて残り3年5400万ドル。打率はまずまずでも長打力が物足りず、守備や走塁の貢献度がマイナスの選手としては割高と言わざるを得ない。実際、オフにはマリナーズとのトレード話が浮上したが、成立には至らなかった。

 とはいえ、この八方塞がり状況は吉田にとってはもちろん、球団にとっても不都合で、何とかして打開する必要がある。

 そこで、新天地として現実的に可能性のある球団を探っていこう。
 現状、最有力候補となるのはロイヤルズだろう。昨季は積極補強が奏功し、ワイルドカードで9年ぶりのプレーオフ出場。だが、今季はここまで14勝15敗と一進一退の攻防が続いている。特に期待を裏切っているのが打線で、13本塁打はリーグ最少、91得点はワースト2位。レフトもDHも日替わり状態で、吉田にとっては現状で最もフィットするチームと言っていい。

 ロイヤルズと同様、ブルージェイズもここまで得点力不足に苦しんでいる。しかも、DH(リーグワーストのOPS.589)、レフト(同ワーストの.509)と、吉田のポジションが特に打てていない。DHには大型契約が加入したアンソニー・サンタンデアーがいるが、昨季までは主にライトを守っていた選手。吉田と共存することは決して不可能ではない。ただ、メジャーでは同地区内の球団とのトレードを嫌う傾向があり、その点は障壁になり得る。

 DHの攻撃力が低いという点では、カーディナルスも条件に合致する。だが、今のカーディナルスは「橋渡しのシーズン」として世代交代を推進中。30歳を過ぎた吉田の獲得はこの方針と面から矛盾してしまう。

 レンジャーズも、DHのジョク・ピーダーソンが41打数連続ノーヒットの記録的不振に苦しんで話題となったが、昨季は23本塁打、OPS.908を記録した実力者。レフトには新進気鋭のワイアット・ラングフォードもおり、この段階で、吉田を受け入れる可能性は極めて低い。

 こうして見ると、新天地としてフィットしそうな球団も非常に限られていることが分かる。レッドソックスが残り契約の大半を負担してもなお、引き取り手を探すのは難しそうだ。

 それでも、日本が誇る強打者がこのまま出場機会を得られないままではあまりにも惜しい。何とか状況を打開する方法が見つからないものだろうか。

構成●SLUGGER編集部

 

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