突然のハプニングにスタジアムが騒然とした。

　現地６月24日、アリゾナ・ダイヤモンドバックスは敵地に乗り込んでシカゴ・ホワイトソックスと対戦。ダイヤモンドバックスが４対１で勝利した一戦で、まさかの悔し涙に暮れたのがドミニカ共和国出身の31歳内野手、ケテル・マルテだ。
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　ダイヤモンドバックスが３点をリードして迎えた７回裏、セカンドの守備についていたマルテがうずくまって涙を流すシーンが中継映像に流れる。驚いて駆け寄るチームメイトたち。ベンチから飛び出したトーリ・ロブロ監督も優しく肩を抱きながら、言葉をかけて慰めた。

　全米野球記者協会（BBWAA）のメンバーであるフランシス・ロメロ記者は自身のＸ上でその際の動画を掲載しつつ、「ダイヤモンドバックスのトーリ・ロブロ監督は、シカゴでファンがケテル・マルテの母親について何かを叫んだと言った」と説明。そのうえで「彼の母親は2017年に交通事故で亡くなっている。マルテは明らかに感情的で動揺していた。そのファンはスタジアムから退場させられた」と続けている。

　スタンドから許しがたい野次が飛んだのは、７回表にマルテが第３打席に立った時だという。マルテはサードフライに倒れてベンチに引き上げる際、涙を浮かべながらその観客に視線を送った。チェンジとなって守備についても感情は高まるばかりで、溢れる涙を抑え切れなかったのだ。ロブロ監督は「我々は多少の野次や批判には耐える、それだけの覚悟がある。だが、一線を越えてはいけない。今回は明らかに越えたし、本当に許せない。我々も人間なんだ」と怒りを露にした。
  　SNS上では卑劣な野次を放ったファンへの非難が殺到。「最低のクズ野郎め！」「生涯出禁にすべきだ」「我慢の限界を越えている」「マルテが可哀そうでこっちまで泣けてくる」「野球さえも侮辱する蛮行だ」「信じられない出来事だよ」「軽率では看過できない言葉だろ」など、憤慨する者が後を絶たない。

　それでもこの日、目下ナ・リーグのオールスター投票でトップに立つマルテは15号ソロ本塁打を放つなど、４打数２安打１打点をマーク。５試合連続の複数安打を記録して、チームの勝利に貢献している。

構成●THE DIGEST編集部
【動画】フィールド上で突然号泣するマルテ。監督やチームメイトが優しく取り囲む