ロサンゼルス・ドジャースのベテラン左腕クレイトン・カーショウが現地７月15日（日本時間16日）、アトランタのトゥルイスト・パークで開催されたオールスター戦に11度目の出場を果たし、イヤホンマイクを装着しながら登板するという粋な演出で話題を集めた。カーショウは打者２人を担当し、ホームランダービー優勝経験者２人をわずか６球で抑える快投を見せた。

【動画】スタジオと談笑しながら、あっさりと空振りを奪ってしまうカーショウ
　カーショウはピッツバーグ・パイレーツのポール・スキーンズに続く２番手として登板し、シアトル・マリナーズのカル・ラリー（25年ホームラン競争優勝者）とトロント・ブルージェイズのウラジミール・ゲレーロJr.（23年同優勝者）と対戦した。『FOX』の中継ブースとマイクでつながれたカーショウは、「すぐにストレートで勝負するから、ちょっと待って」と作戦を明かし、初球のファストボールでラリーを左飛に打ち取った。
  　続くゲレーロJr.との対戦では５球を要したが、２-２からのスライダーで見逃し三振に仕留めた。投球に入る前にカーショウは「これが最後の打者になるかもしれないな」などと語りかけ、「今のは（ラリーへの直球）何マイル？ 91マイル？ アウトになったからオーケー。また速球で行くぞ」と実況解説さながらのコメントを続けた。ゲレーロJr.が見逃した後は、「ああ、よかった。ど真ん中だったから、振られなくて本当に助かった」と安堵の声を漏らした。

　特に注目を集めたのは、殿堂入り投手のジョン・スモルツとの中継中の会話だった。米メディア『MLB.com』によれば、カーショウが「何がいい？ スモルツィー、何を投げたらいい？」と尋ねると、スモルツは「カッターをインコースに。スライダーもインコースに」と助言。これに対しカーショウは「俺はカッターを投げないんだよ、スモルツィー」と返し、中継ブースを沸かせた。また「カウントは？ ２-２？ 君たちと話しながらなんて、すごく変な感じだ」と率直な感想も口にした。

　今月初めに通算3000奪三振の偉業を達成したカーショウは、「レジェンド枠」でのオールスター選出となった。デーブ・ロバーツ監督がカーショウを交代させる際、「これは君のものだ。持って帰りなさい」と声をかけたという。37歳のベテラン左腕は、長年のキャリアで培った技術と経験を、ユニークな演出とともに披露し、オールスター戦にふさわしい印象的な登板を果たした。

構成●THE DIGEST編集部
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