☆観察眼の鬼の目線

　この2試合は出場の機会はなかったが、ベンチでも常に目を光らせるベテランキャッチャー・戸柱恭孝も「去年は正直ファイナルぐらいからそれが見えてたんですけど、今年はファーストの時点でできている」と昨年のポストシーズンの一体感がすでにできてきていると頷く。

　具体的には「みんなが最後まで諦めずにやるっていうのを、去年ホントに経験してるんで、その感じにもう近づいてきています。試合に出ている人だけじゃなくて、後から出る選手もすごい役割があるので、ベンチ内で途中から行くことに対する準備にしても、みんなそこに向けて100パーセントやっているので、本当にいい形になってるなと思いますよ」と控えの選手も同じベクトルを向いていることに手応えを感じ取る。
  　ただ昨年の快進撃の中心にいなかった選手が、いまは主力として働いていることもあり「いまの二遊間(林琢真&石上泰輝)は若いですし、エビ(蝦名達夫)に関しても初めてのCS。筒香(嘉智)も一緒になって、そこをうまく巻き込んでできていると思いますね」と元キャプテンとともに、若い力のブラッシュアップに尽力し、裏からチームを支えていく覚悟を示した。

　水曜日から始まるファイナルステージ。「明日、明後日しっかり充電して、次の試合からも全部出し切れるように準備していきたいと思います」と気を引き締めた指揮官は、ファンの力も味方につけるつもりだ。

「今日もたくさんのファンの方が球場を包み込んでくれていましたし、もう本当にファンの方のおかげで勝てたようなもんですからね。今度はビジターに行きますけども、ビジターでもファンの方がね、球場から応援してくれていますし、全国からファンが甲子園にパワーを送ってもらっていると思うんで、全員で戦っていきます」

　ファンを愛し、ファンから愛された三浦大輔の“番長野球”は、最後まで倒し倒し、また勝ち上がる。

取材・文●萩原孝弘

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