野球以外にもフットボールやバスケットボール、テニスなどで使用されたドームは、ヒューストンの観光名所として長い間親しまれた。その後77年にはシアトルにキングドーム、90年はトロントに開閉式の屋根を持つスカイドーム(現ロジャース・センター)が完成し、現在では7都市でMLB球団がドーム球場を使用している。
アストロドームは99年を最後にアストロズの本拠としての役目を終えたが、ボストン・レッドソックスの本拠地球場フェンウェイ・パークは、1912年に開場して以来今もなお現役である。と言っても、108年前の姿のままずっと続いているわけではない。スコアボードが備え付けられている高さ11.3mの左翼フェンスも、緑色に塗られて“グリーン・モンスター”と呼ばれるようになったのは1947年だった。
そして2003年4月12日、“モンスター”の上部に269人分の観客席が新たに設けられた。なお当日の試合は、エースのペドロ・マルティネスが10失点と大荒れで、ボルティモア・オリオールズに6-13と大敗している。
フェンウェイの収容人員はそれまで3万4000人足らず。メジャー全体の1試合の平均動員が5000人だった1910年代ならそれでも十分だったが、90年後にはその数は2万8000人に達し、レッドソックスのような人気球団にとっては明らかに手狭になっていた。とは言うものの、球場が建てられているのはボストンのダウンタウンとあって、スタンドは簡単に拡張できない。新球場の建設計画も、フェンウェイに愛着を抱くファンの反対で滞っていた。
となると、出来る範囲で少しでも客席を増やすしかない。そこで目をつけられたのが“モンスター”の上であり、これが新たな名物になるとの計算も当然働いていた。“モンスター・シート”に対するファンの反応は、当初は賛否両論あったけれども今では普通に受け入れられていて、特等席として最高922ドル(約10万円)の高値ながら、常に満席状態となっている。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」!
アストロドームは99年を最後にアストロズの本拠としての役目を終えたが、ボストン・レッドソックスの本拠地球場フェンウェイ・パークは、1912年に開場して以来今もなお現役である。と言っても、108年前の姿のままずっと続いているわけではない。スコアボードが備え付けられている高さ11.3mの左翼フェンスも、緑色に塗られて“グリーン・モンスター”と呼ばれるようになったのは1947年だった。
そして2003年4月12日、“モンスター”の上部に269人分の観客席が新たに設けられた。なお当日の試合は、エースのペドロ・マルティネスが10失点と大荒れで、ボルティモア・オリオールズに6-13と大敗している。
フェンウェイの収容人員はそれまで3万4000人足らず。メジャー全体の1試合の平均動員が5000人だった1910年代ならそれでも十分だったが、90年後にはその数は2万8000人に達し、レッドソックスのような人気球団にとっては明らかに手狭になっていた。とは言うものの、球場が建てられているのはボストンのダウンタウンとあって、スタンドは簡単に拡張できない。新球場の建設計画も、フェンウェイに愛着を抱くファンの反対で滞っていた。
となると、出来る範囲で少しでも客席を増やすしかない。そこで目をつけられたのが“モンスター”の上であり、これが新たな名物になるとの計算も当然働いていた。“モンスター・シート”に対するファンの反応は、当初は賛否両論あったけれども今では普通に受け入れられていて、特等席として最高922ドル(約10万円)の高値ながら、常に満席状態となっている。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。
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