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大学野球

「野球の区切りは野球で」。“最後の春”を失った大学生を救済。2人の卒業生が企画した台湾トップアマチームとの企画

上杉あずさ

2020.06.03

選手募集は現在も行われている

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 中島さんは、同じように海外挑戦が足踏み状態となった赤根さんとともに自身の海外挑戦を支援してくれたフットランス社の長田康太郎さんに相談した。フットランスはオランダ発の日系スポーツエージェンシー。野球海外渡航をサポートしている組織で、長田さんはその代表だ。長田さんの経験や人脈に頼り、台湾のトップアマチームと対戦するという企画に至った。

 【TAディアーズ】という団体名のTAは“The Advancing”の略だ。失った春からの“前進”を意味する。ディアーは鹿。鹿は角が毎年生え変わり、その再生サイクルが速いという。「“再生の象徴”と言われる鹿のように失った春からいち早く立ち上がり、再び前に進むための闘いにする」という思いが込められている。
 
 新型コロナウイルス終息の目処も第2波の予測も未だ不透明な状況が続いている。台湾遠征もこのままでは実現できるかわからない。それでも、可能性がある限り、夢を追い続ける。

 最後に中島さんはこうメッセージを添えた。

「新型コロナウイルスの影響でプレー機会が無くなり、悔しい思いをした選手も多いと思います。特に最期のリーグ戦と考えていた選手はやり切れない思いがあると思います。野球のケジメは野球でしか付けられないと思うので、ぜひこの台湾遠征で有終の美を飾って欲しいです。また、海外の野球に興味がある人、いろんな仲間とプレーしてみたい人もお待ちしております。失った春から前に進むために皆で闘いましょう!」

 高野連の八田会長は甲子園中止を「運命的な悲しい事象」と表現した。確かに、見えない敵の脅威は計り知れず、何とも悲しい運命である。しかし、自ら運命を変えにいくために出来る限りの行動をしようとする若者がいる。スポーツ界も暗いニュースばかりだが、そんな中、明るい未来を垣間見せてくれる彼らの行動に注目したい。

取材・文●上杉あずさ(タレント)

【著者プロフィール】
ワタナベエンターテインメント所属。RKBラジオ「ホークス&スポーツ」パーソナリティやJ:COM九州「ガンガンホークス CHECK!GO!」リポーターとしてホークスを1軍から3軍まで取材。趣味はアマチュア野球観戦。草野球チーム「福岡ハードバンクポークス」の選手兼任監督を務める。
 

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